アカメ釣行 ~second challenge~

一回目の釣行から早三ヶ月が過ぎようとしていた。

アカメ釣行 ~first challenge~

行きたくなかったわけではもちろんない。

ただ、予定を立てた日は天候があまりにもひどかったり、

車に荷物を積み込んだにもかかわらず、直前で風邪をこじらすなど、

目に見えない何かに阻まれ続けた結果なわけで。

しかし!

今回は天気もばっちり体調も万全。

オールグリーンである。

仕事場から直行した方が近いので、そのまま高知に向かう。

金曜日の夕方なので道が混むこともない。

「この橋をあと何回渡ることになるんだろうか」

10回?20回?それ以上?

考えるとイヤになるのでカツオのたたきのことを頭に巡らせる。

橋を渡ってしばらくしてポイントに到着する頃、

あれだけ威勢がよかった日差しも、ずいぶん大人しくなっていた。

そそくさとタックルの準備をして、水辺へと向かう。

橋脚の明暗にルアーを通すと、元気のいいシーバスが追ってくるが、

寸前で見切られてしまった。

よく見ると他にもシーバスの群れが明暗部で待機している。

ただ、その中に違和感がある。

一匹だけ、“うちわの様な尻尾”の奴がいる。

「アカメ…か?」

はっきりと確認する前に深場へと姿を消してしまった。

判然としない気持ちを抱えたまま、何度となくルアーを投げるも異常はない。

今回は新規開拓も目的の一つだったので、新しい場所にも顔を出してみた。

車で20分ほど移動した河川。とその周辺の漁港。

手始めに河川のゴロタ場をヘッドライトで観察してみる。

すると、不気味に光る赤い点が二つ。

これがアカメとの出会い。

ルアーは投げなかった。

こいつは釣れないと思ったので、

姿が見えなくなるまで観察した。

銀色の魚体を翻しては底を気にしている。

カニを意識しての行動だろうか。

ただただ食い入るように見ていると、

視界の外の暗闇へと消えて行った。

サイズは60cm程だったけれど、

盛り上がった体高と異彩を放つ目に言い知れぬ迫力を感じた。

その後、河川では音沙汰なかったので、漁港内を散策。

ここでも明暗部にはシーバスが居座っている。

中には80cmを超え、異常に盛り上がった体高を持つシーバ…うん?

またしてもアカメと遭遇。

今度は躊躇せずルアーを送り込む。

すると、目の前を通った瞬間巨体が襲いかかって来る。

「来たか!?」

と思ったのだけれど、ギリギリのところで見切られてしまった。

やっぱりそう簡単にはいかないようだ。

そして結局、何の反応もないまま朝を迎えることとなった。

しかし、この夜得たものは大きい。

土曜日の朝。

「日中でも姿が拝めるかもしれない」

そう思って歩き周ってみたが、やっぱりダメ。

そろそろ荒んできたので、ダツを釣って心の栄養補給。

良い歯をしてるな~君は。

骨格標本にする案もあったけれど、

どうせならもう少しデカいので作りたいから今回はリリース。

他に魚も見当たらないので上げ潮のタイミングで違う河川へと移動する。

小型のミノーを障害物の際に通すとキビレやシーバスが飛び出るが、

針にかからずもどかしい。

そうこうしているうちに端まで来てしまったので、

ルアーを変えて来た道を戻る。

いかにも魚が付いてなさそうなショボイ杭の横を通すと、

ガツ!!というアタリ。

たいして大きくない。むしろかなり小さい。

しかし、水面を割って出たのは念願のアカメ!

その瞬間、顔色を変えめちゃくちゃテンパる自分。

針のかかり具合とか一切確認せず抜き上げる。

『アカメ』

また一つ夢が叶った。

手の震えとともに嬉しさが込みあがってくる。

こんなに感動できる機会はそうそうない。

盛り上がった体高

うちわの様な尾

そして、なにより特徴的な赤い紅い目。

本当に魅力あふれる魚だ。

しばらく放心状態で水中のアカメを眺めていると、

やたら潮位が上がってきていることに気づき、

名残惜しかったが、そっと手を放した。

その後、すぐさま温泉に行ってほっこりし、

巨大ネギトロ丼を食らって爆睡したのは言うまでもない。

目的を果たしたことで財布の紐も緩んだが、

この上なく幸せだった。

気がつけば、土曜日の夕方。

ただ、時間はもう一日ある。

「どうせなら最後までやって帰ろう」

などと格好いいことは言わない。

「もう少し癒される釣りがして~」

と完全に脱力モードである。

とりあえず、アカメを目視した漁港へと向かい、

メッキでも釣れないかな~と小型スプーンを投入。

すると…。

フグ。

フグ。。

フグ。。。

メッキは釣れなかったけれど十分癒され…た…かな?

あっという間に日が暮れたので、アカメを狙う。

昨日見た漁港内の同じ場所を確認すると…。

いた。

昨日と同じやつだ。

居着きなのだろう。

そうでないとすれば、かなりきっちりとした回遊コースがあることになる。

前回とはルアーを変えアクションもリフト&フォールにしてみる。

すると、果敢に襲ってくるではないか!

完全に食ったと思った。

が、やはりかかるには至らない。

どうしても“あと一歩”が届かない。

なにもできない無力感。

そんなこちらの姿をあざ笑うようにゆっくりと沈んでいった。

結局、今夜もこのアカメの顔を拝めずに終わった。

そして日曜日。かつ最終日。

昨日アカメを釣った河川に上げ潮のタイミングで入る。

ただ、場所は下流の橋脚周り。

おまけに、タックルもライトなものから変えて、

夜間に使っているショアジギタックルを使う。

“後悔したくない一心”から。

この選択が後の結果を大きく左右する

しばらくゴロタ場を攻めても無反応だったので、

当初の目的の橋脚へと向かう。

一投目。

異常なし。

と思ったら、橋脚の淵から巨大な影がルアーを追ってくる!

瞬時にアカメとわかったが、ルアーはすでに足元にある。

Uターンした魚体の進行方向にルアーを通すとガンッ!!という強烈なアタリ。

アワセを入れてやりとりに持ち込もうとするが、

予想外のパワーで橋脚に巻かれてしまった。

カキ殻びっしりの柱にラインがきしむ。

以前、おそらく自己記録であろうビワコオオナマズに根に巻かれ、

ラインブレイクした苦い光景が思い浮かんだ。

またあの時の様に後悔を水辺に残すことになるのか。

「終わった…」

と思うよりも先にベールを起こしてタックルを置き、

ラインが巻いている場所まで飛び込む。

ウェーダーは履いていなかったが、そんなことを気にしている場合でもなかった。

時間をかければラインが切れるかフックが外れる。

手探りで絡まっているラインを外し、タックルを手に取る。

すると、まだ生命感がある!

痛んだラインに気を遣いながらも、短時間のやり取りを意識してよせると、

昨日釣ったものよりはるかに大きい魚体が横たわっていた。

水から上げるまで無我夢中で気付かなかったが、

全身が震えていた。

もし、ライトタックルを選んでいたら巻かれると同時に切れていただろう。

そう考えると本当にゾッとする。

もちろん、写真に写っている自分の姿も全身びしょ濡れでひどいものだったが、

とても“いい顔”をしていた。

これ以上ない感動を与えてくれた二匹に感謝。

この上ない満足感と叶うと同時に消えてしまった夢。

本当に嬉しく、そしてちょっと寂しい。

そんな二つの感情に背中を押されるように、

四国に別れを告げた。

日本怪魚伝 (角川文庫)
クリエーター情報なし
KADOKAWA / 角川学芸出版
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