
サンショウウオ探索熱が急降下している自覚症状はあるものの、後遺症なのだろうか、なんとなく生息地へ向かいたくなる。軽いノリでKazuho氏に連絡すると、同行してくれるというのでサンショウウオ生息地へ向かった。
刺激治療

どうやら Kazuho氏も "サンショウウオ探索熱の鎮静化→燃え尽き症候群"へ連なる一連の症状を経験済みらしい。さすが、我がウオ師匠である。沈静化したサンショウウオ熱を再燃させるため、刺激を加える作戦に出た。
そう。“新規開拓”である。
結果からすると、この山は不発。坊主だった。しかし、これこそが刺激治療。坊主を投与することで、何とか見つけようという探索熱が一時的に再燃するのである。なんとも付け焼刃的だが、このポイントは諦めて次のポイントへ。
坊主を投与し続けると逆に本気で燃え尽きる可能性もあるため、鉄板ポイントを目指すことに。
屋外療養

ポイントに到着すると予想外の雨。
せっかく復旧したモチベーションがだだ下がりである。こういう時は別の楽しみを見つけよう。サンショウウオだけが人生ではない。ここは大自然のど真ん中。文字通りのアウトドア。外ご飯を楽しむしかないだろう。
サンショウウオを探し始めたころは今のように的確に見つけることができず、食事の時間も惜しんで探索に没頭したものだ。「小型サンショウウオ探索は過酷」と言われる所以の1つかもしれない。
しかしようやく、火を焚き、湯を沸かし、暖かい食事を楽しむ、そんな心の余裕ができた。
予想外の難航

このポイントはヒダやハコネが生息していることがわかっている。サンショウウオの一大生息地のはずだ。しかしなかなか見つからない。
少し舐めていたのか。大きめの岩を薬指の上に落としてしまい割と痛かったが、刺激治療でドーピングしているせいか、あまり気にせず探索を続行。
この時期は個体や生息地によって居場所が異なるのかもしれない。サンショウウオの気持ちを想像し、ちょっと探し方を変えてみることに。
大物現る

ちょっと目線を変えてみたおかげか、ようやく未開拓だったポイントで1匹の大物を発見した。
ウナギのようにうねる姿を見て、最初は魚かイシヅチサンショウウオかと思ったほど。おそらくこんな深山には誰も来ないからここまで大きく成長できたのだろう。Kazuhoという男からトトコレというサイトを通じて見せつけられてきたこのエリアのヒダサンショウウオ。
ようやく自分でも見つけることができた。


後日談
遂に念願だった中国地方産のヒダに会えた。
そして一時的に再燃していたサンショウウオ熱はまた下火に。サンショウウオ探索というのは強火から始まり、燃え尽き→弱火と推移するのかもしれない。
帰路で岩を落とした薬指(第一関節)が痛む。とは言え、耐えられる痛みだったので湿布を巻いて2週間ほど様子を見つつ日常を送る。年末になり、病院に行く余裕も出てきたので気になっていた薬指をレントゲン検査。そして医師からはこう告げられた。
「ああ、やっぱ折れてるね。」
