カスミサンショウウオ(ヒバサンショウウオ)

当ブログではサンショウウオのの記事が多く、

採集記以外にも“サンショウウオの飼い方”を調べるために訪れる人もちらほらいらっしゃいます。

その人たちのためにも「ちゃんとまとめないとな~」

と思っていたので、カスミサンショウウオの卵嚢の扱いから幼生、

成体の飼い方について書きます。

それではどうぞ!

カスミサンショウウオとは....

まずは『カスミサンショウウオ』について。

有尾目サンショウウオ科に属す両生類で、体長は10cm前後。

ここから少し面倒な話になりますが、ご容赦ください。

カスミサンショウウオは元来1種とされていましたが、

研究の結果、違う種類が含まれているとわかり2019年に9種に分類されました

下記に記載します。

分布

九州

  • カスミサンショウウオ

本州

  • サンインサンショウウオ
  • ヤマトサンショウウオ
  • セトウチサンショウウオ
  • イワミサンショウウオ
  • ヤマグチサンショウウオ
  • アブサンショウウオ
  • アキサンショウウオ
  • ヒバサンショウウオ

なので、正式なカスミサンショウウオは九州にしかいません。

この記事に出てくるカスミサンショウウオも正式には、

ヒバサンショウウオ」と「セトウチサンショウウオ」です。

分類される前の個体なのでカスミサンショウウオとして話を進めます。

飼育方法に差異はないのでお気になさらず。

では、本題。

カスミサンショウウオの産卵と卵嚢について

季節は11月から3月半ば。

カスミサンショウウオが産卵のために水辺に集まる季節。

「何月?」と聞かれても地域やその年の積雪量で大きく変動するので、

一概には言えません。

カスミは止水性(水の流れのないor緩い場所に産卵)なので、

山間部のため池や水たまりの様な場所に卵を産みます。

また、カスミには『高地型』と『低地型』というものが存在します。

現在の「ヒバサンショウウオ」と「セトウチサンショウウオなど」です。

高地型(ヒバ)は比較的標高が高い場所に生息するタイプ、

低地型(セトウチなど)は低い場所に生息するタイプと分けられます。

前者は湧水や流れ込みによってできた水たまりのような場所で産卵しますが、

後者は田んぼの脇のみぞ(やね溝)や、

山里の湿地にある水たまりなどに産卵することが多いです。

詳しくは後述します。

産卵ほやほやの卵嚢は水分を吸っておらずしわしわですが、

時間の経過とともにプリプリになります。

水中で輝く卵嚢を見るとついつい持って帰りたくなりますが、

オススメしません。

上の写真でもわかる通り、一個の卵嚢からかなりの数の幼生が出てきます。

飼育できる範囲で飼うようにした方がよいと思います。

それでも持ち帰りたいという方は、それなりの設備と覚悟をお持ちください

予想外の事態

ちまみに、自分はその両方ともなく持ち帰ったことがあります。

少し弁明すると卵嚢は持ち帰っていません。

持ち帰った成体が水槽内で産卵するという事態が起こったわけです。

当時の自分は大した知識もなかったので、

まさか水槽内で産卵するとは思ってもみなくて、、、。

それでも産まれてしまったものは大切に育てました。

水温は冬場の室内なので15~20℃弱。

クーラーボックスを使っていたので、

温度変化は少なかったと思われます。

水は産卵場所と同じ水を使用しました。

ちなみに、水道水のカルキを抜いたものでもかまいません。

エアレーションは卵嚢が撹拌されない弱い程度で付けてましたが、

無しでも問題なく幼生になりました。

上の写真から10日後。

だいぶサンショウウオチックな見た目になり、

中でちょろちょろ動くのがまた可愛いです。

さらに20日後。

卵嚢から出てきて少し経った段階ですね。

出てきた直後の写真がないのが実に惜しい。

我ながら詰めが甘い。

卵嚢の扱いで大切なこと

カスミサンショウウオの卵嚢は、

ほぼ世話をせずとも幼生になります。

「極端に高温or低温にしない」「飼育水を腐らせない」

の二点に注意すれば問題ありません。

生存率を上げるとかそういった話になると、

もう少し工夫がいるかもしれませんが、

上記の方法でも9割以上が無事幼生になってます。

カスミサンショウウオの幼生の飼い方

次はその続き“幼生”について書きたいと思います。

ひとえに幼生と言っても、いろいろな段階があります。

卵嚢から出てきた直後なのか、ちょっと大きくなって前後の足が生えそろっているのか、

大きく育ち上陸が近いのかetc...。

初めに卵嚢から出た直後のサンショウウオについて 。

幼生の飼育環境

水温は卵嚢の時と同じ15~20℃。

特にこの温度じゃないとダメ、

というわけではなく冬場の室内で飼っていたため。

もう少し低い温度でも高い温度でも飼育は可能です。

ただ、あまりにも高いのはNG

「幼生の時は28℃程の高水温でも大丈夫」

なんてことを聞いたことがあります。

確かに大丈夫です。そうそう死にません。

しかし、負担がかかっていることを忘れてはいけません。

人間でも30℃程度なら問題ありませんが、

連日続くとしんどくなりますよね。

長期間はもちろんですが、

できれば一時的にでも高水温にすることは避けるべきだと思います。

15~20℃前後が妥当かと。

エアレーションは必要?

流水性ではないのでそれほどうるさくはありませんが、

小さいもので良いので入れるようにしましょう。

この時期は共食いもできないので、飼育容器も小さなものでかまいません。

それでも多少大きなものの方が水が汚れにくいので管理はしやすいですね。

水換えの際もカルキを抜いた水道水で問題ありませんが、

極端な水温変化は控えた方がよいかと。

孵化直後の幼生のエサ

そして、一番苦労した難関、“餌”。

「ブラインシュリンプ沸かせばいいじゃん」

そう思う人もいることでしょう。

しかし自分にとってとても重大な問題がありまして、、、

そう、なんと言っても、

「面倒くさい!!」

その一言に尽きます。

そんなわけで、ブラインシュリンプを使わずに済むよう考えてみました。

エサを自分で捕る

幸いなことに近所に河川があって、その付近に湿地もありました。

岸際に水草が生えていたので金魚網でガサガサすると、

とても小さな微生物がgetできます。ミョンミョン動く黒い点です。

それをスポイトで水ごと吸って飼育ケースに投入。

ヤゴや小さなザリガニを間違えて入れると食べられてしまうので要注意です。

ブラインとどちらが面倒かと言われたら『?』ですが、

近くに野池や流れの緩やかな河川、湿地がある人は良いかもしれません。

すべての個体が無事に育ったので問題はなさそうです。

そして、アカムシが食べられるサイズになると飼育がグッと楽になります。

成長した幼生のエサについて

すっかり大きくなり四本足になる頃。

この時期になるとなんでもよく食べみるみる育ちます。

メインの餌は入手が簡単で保存も楽な冷凍アカムシ。

時たまちぎったミミズや成体の食べ残したサシ虫なんかも。

とにかくなんでもよく食べるのです。

餌をやるピンセットにも噛みついてくる始末。

そして気が付けばしっぽの欠けた個体がちらほら。

そう、始まってしまうのです。

“共食い”が。

共食いを避ける方法

この時期は動くものなら何でも口にします。

それは同じ卵嚢から出てきた仲間も例外ではありません。

完璧な対処法は一つ。

個別飼育』です。

もちろんそれなりにスペースが必要ですし、

餌やりも相当手間です。

もう一つの対処法は『常に満腹に近い状態にする』。

サンショウウオの幼生は満腹になると餌を食べなくなります。

まぁ、当たり前と言えば当たり前ですね。

当然、共食いの確率は減りますが完璧に防ぐことはできません。

四六時中ケースの前で見張って、

幼生が腹をすかしたタイミングで餌をやるなんて不可能ですから。

おまけに水質の悪化も招きやすいので要注意です。

根本的な解決にはなりませんが、

サイズごとに分けて飼育する手もありですね。

そんな食欲旺盛だった幼生達が急に断食を始めます。

それが『上陸』の合図です。

上陸の際、気を付けること

共食いの問題も乗り越え、

いよいよ上陸間近に迫った幼生達。

ここでもう一工夫が必要です。

それは『足場を作ること』。

幼生は鰓呼吸ですが成長するにつれて、

肺呼吸+皮膚呼吸と変化します。

足場がないと溺れてしまうわけです。

※写真はカスミではないですが参考までに。

自分はケースを傾けて水深の浅い部分を作って石を置いています。

上陸が近くなるとこの石の周辺に寄るようになり、

登ったりする姿も見られるので目安になります。

そんなもの無視して写真のように壁面を登る個体もいますが、

返しのあるケースであれば脱走することはありません。

上陸した後の餌は?

そうして上陸した個体はしばらく餌を食べません。

早くて2~3日。長ければ2~3週間。

自分の場合は餌を食べないことが目に見えているので、

上陸して一週間は与えません。

一週間経った後、ピンセットでアカムシをチラつかせて、

反応があれば与えるようにしています。

無視されるようなら1日おいてまた挑戦。

その繰り返しですかね。

必要なのは“根気”、それだけです。

カスミサンショウウオ成体の飼い方

卵嚢、幼生と来て次はいよいよ「成体編」です。

初めに飼育温度について。

最適な温度は?

基本的に温度は15℃~20℃。

それ以上、例えば25℃でもすぐに死ぬことはありませんが、

かなり負荷がかかるのでおすすめしません。

したがって、上記の温度を優に超える“夏”はサンショウウオにとって厳しい季節となり、

冷却設備を用意しなければなりません。

メジャーなのは「ワインセラー」。

冷蔵庫では温度が低すぎるのでワインセラーの温度帯が丁度良いです。

中古であればオークションサイトで比較的安く探すことができます。

飼育ケースと床材について

飼育ケースは個体数にもよりますが、

1匹であれば100均のタッパー(大)で飼育可能です。

2~3匹であればより大きなケースが必要です。

床材は「赤玉土」。

安価でホームセンターにも置いてあるのでおススメです。

粒の大きなタイプでは生き餌(ワラジムシ等)が隙間に逃げ込んでしまうため、

小さめのものが良いです。

それをザッと洗って保水させてから使います。

その上に同じく入手が容易な園芸用の水苔を薄く敷くと尚良いです。

カスミサンショウウオのエサについて

エサは大きく分けて二種類あります。

「生き餌」と「人工飼料」です。

まず初めに「生き餌」から。

生き餌の種類:ワラジムシ

サンショウウオに最高のエサはワラジムシ!

生き餌は文字通り生きてるエサで、サンショウウオにとって一番嗜好性の高い餌です。

自然界でサンショウウオは口に入る小さな生き物を食べていて、

それと同じもしくは近い餌を与えてあげることが重要です。

一番良い餌は「ワラジムシ」。

ワラジムシはサンショウウオを探していてもよく見かけますし、

栄養価も高く、入手も比較的容易なのでおすすめの餌です。

落ち葉が堆積している場所や、石の下なんかを探してみると結構見つかります。

しかし、石をひっくり返してワラジムシを探す姿はなかなか滑稽なもの。

巣窟を発見すれば、目を血走らせながら黙々と集めるので、

その姿は120%不審者です

おまけに土ごと取るので、土とワラジムシを分別しなければなりません。

土と一緒にごっそり飼育ケースに入れても良いですが、

ゴミとかいろいろ入るのであまりよろしくない。

なので、仕方なく割りばしで一匹ずつ分別。

おかげさまで“ワラジムシをつまむスキル”はかなり上達しました。

どこで役立つかはわからないクソスキルです。

もし、「自分でワラジムシを繁殖させて給餌したい!」

という猛者がいればこちらの記事をどうぞ。

生き餌の種類:ミルワーム or ハニーワーム

また、近くにそういったワラジムシが取れそうな場所がなければ、

ペットショップで購入できるものが重宝します。

「ミルワーム」や「ハニーワーム」です。

ミルワームやハニーワームはサイズが大きく少し硬いため、

少々食べづらい餌です。

消化もあまりよくない印象。

慣れてしまえば問題なく食べてくれますが、

どちらかというと大きな個体向けですね。

ちなみに、頭からだと少し食べにくいようで(牙のせい?)、

お尻側からやった方がお腹に収まる確率は高かったですね。

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生き餌の種類:コオロギ

「コオロギ」も入手しやすく、サイズも選べて食いも悪くないのですが少々お高め。

コスパ的にあまりよろしくないため、こちらはおやつ感覚でたまに。

また、サシ虫やミミズなんかもよく食べます。

生き餌の注意点、「栄養不足」

そして、生き餌で注意しなければいけないのが「栄養の偏り」です。

様々な生き餌を満遍なく給餌できれば良いのですが、

そんな日替わり定食的なことはなかなか手間でできません。

選り好みする個体もいるわけですから。

そんな時にやるのが「ダスティング」と「ガットローディング」。

ダスティングとは?

怪しい白い粉の正体はカルシウムとビタミン

なんだかポリスメンが来そうな見かけですが。 まぁ、単に「カルシウム」と「ビタミン」。

ダスティングは生き餌に直接ミネラルやカルシウム等、

不足しがちな栄養素を添加して給餌すること。

わかりやすく言えば、生き餌に栄養を振りかけて、

それごとサンショウウオに食べてもらうわけです。

人間でいうサプリメント?

自分の健康なんて考えたことがないけれど、

サンショウウオには気を遣うのです。

ガットローディング とは?

「ガットローディング」は生き餌に栄養価の高い餌を与えて、

栄養価の上がった生き餌をサンショウウオに食べてもらうこと。

生き餌をストックする必要があるためダスティングよりは面倒かもしれませんね。

おすすめの人工飼料は「レプトミン」

お次は「人工飼料」について。

人工飼料は人工的に作られた餌で、「レプトミン」が代表的です。

主にカメの餌として用いられますが、サンショウウオにとっても良い餌です。

メリットとしては栄養価が高くバランスも良いため、生き餌のように偏ることがありません。

大抵のペットショップで購入できますし、保存もできる便利な餌と言えるでしょう。

もし餌付けば ワラジムシの住処を強襲する日々ともおさらばです。

さらばワラジ。ようこそレプトミン。

それでもたまには会いに行くよワラジ。

しかし、大きな欠点が一つ。

それは「動かない」ことです。

サンショウウオは動くものを捕食するため、

人工飼料を目の前に置いてもまず食べません。

ピンセットで目の前をちらつかせて食べさせる必要があるので、まぁ手間ではあります。

生き餌と違って慣れるまでは口に入れても吐き出すことが多いですし。

もちろん個体差があるので一概には言えません。

目の前でチラつかせただけで疑うことなく胃袋にお収めになることも。

「なんか....簡単だな」

と拍子抜けすることだってあります。

「ピンセット給餌」に関しては後ほど詳しく説明します。

餌やりの方法

餌やりの方法は二つ。

「ばら撒き給餌」と「ピンセット給餌」です。

ばら撒き給餌とは?

ばら撒き給餌はサンショウウオの飼育ケース内に生き餌をばら撒き、

好きなタイミングで自由に食べてもらう給餌方法です。

メリットとしては一度給餌して放っておけば勝手に食べてくれる点です。

面倒だから・・・というわけではなく、連れてきたばかりで環境に慣れない臆病な子でも、

給餌してから人気のない場所にケースを置いておけば食べてくれるパターンが多いです。

餌をばら撒くとひょっこり顔を出す

隠れていたサンショウウオがわらわらと這い出して餌を食べる光景は、

なかなか楽しいもの。

一通り食べて満足したらお気に入りの場所に帰って行きます。

食べる時だけ住処から出て来るなんて、“ニートの素質”は計り知れません。

飼育開始時はこの方法がメインとなります。

ピンセット給餌とは?

お次は「ピンセット給餌」。

こちらは文字通りピンセットからエサを与える給餌方法です。

主に人工飼料をあげるときにこの方法を用います。

サンショウウオは基本的に動くものしか食べないため、

人工飼料を目の前で動かすと「パクリ」と食べてくれます。

いきなり人口飼料だとお気に召さないことが多く、

最初は生き餌をピンセットでつまんで給餌して、

慣れてきてから人工飼料をあげるようにしましょう。

不敵な笑みを浮かべるカスミサンショウウオ

先程のレプトミンはそのままでは固く違和感があるのか吐き出してしまうことが多いため、

水で一瞬湿らせてからあげると素直に飲み込んでくれることが多いです。

湿らせすぎると柔らかくなりすぎてつまめなくなるので注意しましょう。

実際に給餌している動画です。

サンショウウオの飼育は魅力的

なかなか一筋縄ではいかないサンショウウオの飼育。

手間もかかればお金もかかるし繊細で気も使います。

けれど、時折見せてくれる愛嬌ある仕草や表情はとても魅力的で、

どんどん引き込まれてしまいます。

興味があって設備が整えられる人には是非おすすめしたい生き物です。

おまけ

餌やりの時間にはいつもお出迎えしてくれるカスミサンショウウオたち。

サンショウウオを好きになるきっかけを作ってくれた子たち。

全員集合!

仲間を足蹴にしつつ、ドヤ顔を披露するセンターカスミ。

それを羨望のまなざしで見つめるサイドカスミ。

頭の上なぞ気にせず餌だけを見つめるアンダーカスミ。

みんな個性豊か。

ずっと見てても飽きませんな、これは。

コメント一覧
  1. 土本亜紀子 より:

    はじめまして。
    サンショウウオがご飯を食べてくれません。
    今、上陸?したり水中にいたりしています。
    ご飯は赤虫をあげていますが、食べてくれません。
    元気がなく心配です。
    宜しくお願いします。

    • Kazuho Kazuho より:

      コメントいただきありがとうございます。

      ときに上陸するとのことですので、上陸間近の可能性があります。上陸を意識すると餌を食べなくなるため、おかしなことではありません。ただ、上陸後2~3週間経過しても食べないときは要注意です。環境が合っていないか餌を選り好みしている可能性があるので、ワラジムシを中心に赤虫(生きているタイプ)やイトミミズなど、さまざまな生き餌を与えてみて好んで食べるものを探してみてください。冷凍赤虫や人工飼料は動きがなく嗜好性が低いため、餌付いてから与えることをおすすめします。

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