サンショウウオ探しも落ち着き、他の道を模索する中で遂に開いてしまった魚類観察の扉。息子を連れ立ってゆるく試してみた所謂"ガサガサ”もなかなか楽しいことが判明。
今回は本格的な"川ガサ"を伝授してもらいつつ「シマドジョウ」を探しに行った話。
なぜシマドジョウなのか?
以前に紹介したサンショウウオ燃え尽き症候群に冒されつつあったある日。サンショウウオに近いニョロニョロ感ゆえに前々から少し気になっていた「ドジョウ」を模索したことがあった。
模索といっても、たまたま自宅近くで発見したポイントを息子と一緒に訪れて網で掬っただけ。「網で掬って採れた」という成功体験と、マドジョウのニョロ感に興奮し飼育まで始めてしまった。
そんな気になる存在・ドジョウについて調べていくと日本国内には実に美しいドジョウがたくさん生息していることがわかった。そしてキャッチーな模様ゆえ目に留まったのが、今回のターゲット:シマドジョウだった。
どうやって探す?
調べるとシマドジョウは所謂「川ガサ」で採れるようだ。
川・・・
自分には未知のフィールドである。サンショウウオで経験してきた「沢」とはまた違ったリスクも満載。
こういうときは知見のある人物に基礎を伝授してもらうに限る。
幸いなことに自分の周りにいる生き物関係者は水辺の生き物や釣りに造詣のある人間ばかりだ。
そこで誰に教えを乞うべきか脳内コンペを5秒間開催。
見事この僅か5秒のコンペを勝ち取った人物こそ、当トトコレ管理人、Kazuhoであった。
川ガサの基礎を受講する
Kazuhoのホームグランドである岡山県某所に到着。
自分としてはシマドジョウは「まだ出会ったことがない種」であるため一定の緊張感はあるものの、歴戦のKazuhoから言わせると「本気出せば3分で採れる」とのことで、あまりやる気が感じられない。
どうやら自分が思っているよりイージーな種らしい。
集合場所から川沿いに車を走らせ下流を目指す。素人目にも岡山県の河川の豊かさが感じられた。そしていよいよポイントを絞り込む。
川フィールド特有のポイントの見極め方は新鮮である。川に降りることができるポイントが少ないこともよく理解できた。
ウェーダーを履き、装備を整えていざ川へ。
ウェーダーに慣れておらず、川にも慣れていない、このチャレンジ感が心地よい。
何歳になっても新しいことに挑戦する気持ちは忘れずにいたいものである。
そしていよいよ実践。
自分なりに川ガサを勉強して実践はしてきたものの(ヨシノボリ、カワムツ、タカハヤはクリアしている)、やはり猛者のテクニックは違う。なんだこの小気味良さは。完全にプロのモーションである(*彼はプロである)。どんなジャンルでも、新しい挑戦をする時に重要なのことはいきなり背伸びした目標を設定しないこと、経験者の言葉を受け入れることだと思っている。いつか自分流を見つけてやる、と密かな野望に燃えつつも、今日のところは彼から教えられた基礎に従ってみることにした。
シマドジョウ現る
Kazuhoがコツを説明するためにガサった時にシマドジョウらしき魚体が彼の網に入ってしまい、それを見せられたような気もしたが、敢えて無視することにした。最初の1匹は自分で見つけたいものである。
これまでも哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類と一通りの生き物観察は経験してきたので"生き物が潜んでいるポイント"だけはわかる。植物が川に迫り出して日陰になっており流れも穏やかなところがそれにあたる。何箇所かガサってみると、いきなりそれがネットインした。
シマドジョウ!
これぞ最初の一匹(さっきKazuhoの網に入った個体は脳内でノーカウント処理を施した。)この透き通った魚体はマドジョウにはないように思える。そしてこのニョロニョロ感。最高である。
自宅で飼育するために大きな個体を2匹採集するためのチャレンジ「大きなシマドジョウを見つけるまで帰れま10」も開催したのだが、1時間弱で終了してしまった。それほどシマドジョウは川ガサではよく採れる常連ということのようだ。
サンショウウオ観察との違い
その後も川ガサという体験が興味深く、しばらく続行する。すると、Twitterでよく拝見する魚種が続々と登場した。オヤニラミ、スナヤツメ、ギギ、ムギツク、ヨシノボリ、ドンコ、マドジョウ、アカハライモリ、カエル各種、最後にイシガメまで。
ここまで一通り経験させてもらって感じたことがある。興奮の種類がサンショウウオと全く違うと。
例えるならば、
・サンショウウオ観察:刺激性と中毒性が非常に強く、病みつきになる激辛スパイスカレー
・川ガサ:深い出汁による優しい味わいと安定感で癒し効果が絶大、たまに食べたくなるカレーうどん
といったところだろうか。
いつか今よりも魚類に目覚めサンショウウオばりの刺激性を求める日が来るかもしれないが。
気をつけたいこと
楽しいことには必ず危険も付き纏うのが世の常。今回も川ガサでも少し無理をしただけで川の流れに足をとられそうになったり、柔らかい砂地に足が吸い込まれたりと危ない場面もあった。川で事故が多いこともうなずける。超えてはいけない一線を見極めつつ、身の安全、近隣や生き物への配慮を念頭に置いて川ガサを楽しんでいきたい。