今回は魚ではなく沖縄や鹿児島に生息する巨大な『ヤシガニ』の見つけ方に関するお話しです。
西表島や石垣島などまだまだヤシガニが多く生息している島では、ヤシガニを観察するエコツアー(ナイトツアー)も開催されていますが、せっかくなので自分なりに考えて探して見たかったのでエコツアーは最終手段とさせていただきました。
ズバリ、ヤシガニの見つけ方は「海岸近くのアダンを探せ!」これに着きます!それでは西表島ヤシガニ観察体験記としてヤシガニの生態や探し方を説明していきますね!
※石垣島や宮古島を始め、島によってはヤシガニ保護に関する条例が制定されている場合がありますので捕獲する際は必ず事前に確認しましょう。
目次
陸上生活に特化した巨大なヤシガニの正体とは?
ヤシガニはオカヤドカリの仲間で、世界最大のヤドカリとして知られ、最大体長は40cm、脚を広げると最大で1m以上に成長します。
ヤシガニの生息域は比較的広く、インド・西太平洋の熱帯・亜熱帯地域に生息し、日本には鹿児島県から沖縄県にかけての島々でヤシガニを観察することができます。
ヤシガニは甲殻類の仲間では珍しい”完全陸上生活”を送る生き物です。つまり、ヤシガニを探すときは水辺ではありません。
ヤシガニの見つけ方① ヤシガニは夏に波打ち際で放幼する
小難しい生態は後述するとして、ヤシガニを探す場合は海面から高低差が少なく、砂浜から比較的近い場所がオススメです。
シーズンとしては暖かな時期が良いでしょう。理由はヤシガニの繁殖生態に由来します。
ヤシガニは完全な陸上生活するとは言え、卵からふ化した赤ちゃんを海に放つ瞬間だけは海に浸かります。ふ化したヤシガニの赤ちゃん達はゾエアと呼ばれ、約1カ月の間浮遊生活を送ります。
生後1カ月を過ぎた頃から海底に移動し、ヤドカリのように貝殻を背負った生活を始め1カ月程かけて上陸する場所を探すと考えられています。
上陸後は水中で生活するための体の機能は完全に失い、赤ちゃんを海に放つ時以外は水に入ることはありません。
ヤシガニの交尾は概ね5~9月にかけて陸上で行われ、6~10月の間に波打ち際で放幼すると言われています。
ヤシガニの見つけ方② ”ヤシガニの大好物”とは?
ヤシガニはその名の通り、ヤシの実も食べますが実は大変な雑食性で、木の実や落ち葉と言った植物性の物から動物の死骸やカメの卵などの動物性のものまで口にできるものならば何でも食べます。
何でも食べる!とは言え、動物の死骸なんて頻繁に出会える餌とは言えませんよね。ヤシガニにとっていつでも簡単に食べられる餌…いわば主食とも言える大好物は南の島ならばどこにでも見られる”アダンの実”です。
ヤシガニを探す際は、”砂浜から近いアダンの林”を探しましょう!
実際に西表島でヤシガニを探してみました!
「ヤシガニなんて道路に普通に歩いてるよ」この言葉を信じて5年以上。
何度も南西諸島を訪れてきましたが、僕にそんな運はありませんでした…。
と言うことで、僕の方から一方的に運を見放し、実力で出会ってやろうと意気込み、ヤシガニ探しを遂行することになったのは2020年9月のこと。場所は「西表島」です。
ヤシガニを見てみたい熱意が高すぎてガッツリ生き物捜索のような文章になってきていますが、実際にやる事は非常にシンプル!砂浜近くのアダンの林をヘッドライトで照らしながら歩くだけです。
”砂浜が近いアダンの林”を明るいうちに見つけておき、日暮れ後に散歩感覚で訪れると早速ヤシガニがいました!
それもかなり大きい!念願のヤシガニに遭遇です!歩き始めてものの15分の出来事でした。
その後は、アダンの木に登るヤシガニも観察することができました!
ヤシガニを探す時は地面だけじゃなくアダンの木も入念に探してみましょう。
最後まで読んで頂いた方にもう一つ僕が現場で感じたヤシガニが好むであろう環境をお伝えします。
それは…砂浜が近い”石灰岩の岩場”+アダンの林です。砂浜から0~300m以内+石灰岩の岩場+アダンの林。
この方程式が成り立つ場所さえ見つけられればヤシガニを観察できる可能性はアップすると思います。
今回、しっかりヤシガニの生態を調べてから探してみた感想として、ヤシガニは老若男女問わず誰でも探せる巨大生物だなと感じました。
南の島に遊びに行かれる方は明るいヘッドライトを持って探してみてはいかがでしょうか?
※無暗に捕獲しようとすると怪我をすることもありますので、生き物の扱いに慣れていない方は観察だけに留めましょう。