友人とLINEのやりとりをしていたところ、“カイダコ”という単語が目に入った。
貝なの?タコなの?なんなの?
まったくわからない笑。
生き物好きと言いながら、この程度の知識しかないです。はい。
調べてみると、“貝のような殻を持ったタコの仲間”らしい。
タコ目カイダコ科に属し、海の表層で浮遊しながら生活しているんだって。
『アオイガイ』と言われればピンとくる人も多いんじゃないだろうか。
見た目はアンモナイトやオウムガイっぽい。
「不思議な生き物もいるもんだね~」
と呑気に考えていたところ、
「砂浜歩いてたら拾えるらしいよ」というから驚きである。
こんな珍生物が砂浜歩いてて見つかるなんて、お手軽感&お得感満載じゃないか!
そんな流れであまり調べもせず、
「砂浜歩いてたらそのうち見つかるだろう」
そんな軽いスタンスで鳥取県のとある海辺へと向かった。
アオイガイ拾い開始!
季節は12月半ば、冬。
やっぱりちょっと寒い。
数組のカップルが楽しそうにお散歩しているところに、
カッパ+長靴+網(手が届かない場所用)という装備で出陣する。
広大な砂浜を眺めているとカモメらしき群れを発見したので、
全力でダッシュしたら盛大に飛んで行った。満足満足。
幼少期からやることは変わっていない。
若いって素晴らしい!(違う)
一仕事終えたので、早速アオイガイ探しを始めると、
中身のない殻の欠けたアオイガイ発見!
その後も続々と見つかり、6個拾ったけれどどれも貝殻のみ....。
ちなみに、この貝殻は腕から分泌した物質で作られ、メスのみが保有する。
そして内部で卵を守るようだ。
実際、打ち上げられた貝殻のいくつかには卵が入っていた。
親に捨てられた家なき子。いや、家はあるから家ある子?
さてさて、中身入りがなかなか見つからないが、砂浜の漂着物拾いはとても楽しい。
よくわからない貝殻や角が取れ丸くなったガラス片、漁具など様々だ。
なにより、雄大な海を眺めながらのお散歩はとても気分がいいし、健康的。おまけにタダときたものだ。
体を酷使しながらも釣れない葛藤を抱く釣りなんかより、よっぽど気分が良かった笑。
実は難しい?アオイガイ拾い
いろいろな漂着物を目にしつつ歩くこと2時間半。
この時点で気が付いた。
このミッション、そんなに簡単じゃないぞ。ということに。
貝は割と見つかるものの、中身がない!
「今回はダメかな~。まぁ、いろいろ見れたしいっか!」
一度歩いたところをUターンして10分ほど歩くと、
遠目に赤い漂着物が確認できる。
まさかと思いながらも近づくと...。
ビンゴ!!
お目にかかれるとは思っていなかったアオイガイ(具入り)。
波に持って行かれないようにすぐさま水際から遠ざける。
ち、珍妙すぎる!
こんな生き物初めて見た!
あまりにも嬉しかったので写真をバンバン撮っていると、
なんか様変わりしてきたような....。
じわじわと具が出てきてる。
最終的にそれはそれはタコらしい姿へと変貌された。
どうやら腕から伸びる膜が覆っていたため、貝殻も赤く見えたようだ。
この見た目であればタコと思える。
ただ、マダコやイイダコの様に歩いたりせず、
ずるずると地面を這うのが精いっぱいといった感じ。
見れば見るほど奇怪な生き物だ。
こんな見た目だったら当然、“味”も気になっちゃうところ。
アオイガイ、実食!
というわけで、塩茹でにして食べてみた。
お味はと言うと...。
美味しくはない。
タコの味はするのだけれど、水っぽくて味が薄く、歯ごたえも弱い。
マダコやイイダコと比べたら格段にマズイと言っていい。比べたらね。
なにはともあれ、生きたアオイガイを見れてとても良かった。
漂着物採集が思ったより楽しかったので、今後も釣りの合間に挑戦してみようかな。
アオイガイをまじまじと観察してみる
拾ってきたアオイガイの貝殻。
二つ合わせることで“アオイの葉”のように見えることから、このように呼ばれている。
そんなわけで、早速合わせてみた!
どうでしょう?
個人的にはマッシュルームの切断面にしか見えない。
残念ながら美的センスは持ち合わせていないようだな。
実は脆い“殻”
“貝殻”と聞けば硬い印象を受けるが、これはかなりの紙装甲。
そんなだから英名ではPaper nautilus (紙のように薄い殻を持ったオウムガイ)と呼ばれている。
「そんな装備で大丈夫か?」と問いかけたくなるね。