ヒダサンショウウオ幼生

2018年秋。当サイトを見つけ、その文章力と鬼気迫る生き物探索記に魅せられてしまい、管理人Kaz氏に「一緒に生き物観察に行きませんか?」とナンパしてハコネサンショウウオを探しに連れていってもらったのも懐かしい思い出だ。このたび、Kaz氏からの誘いで「トトコレ」に寄稿させてもらうことになった。少しでも生き物の素晴らしさをお伝えすることができればと思っています。

冬山

今となっては彼からの悪魔のささやき有難いインプットのおかげで、すっかりサンショウウオ探索・飼育がライフワークに。1年中、小型サンショウウオ熱はMAX。Kaz氏と2人でサンショウウオを探して豪雪地帯に突撃し、遭難しかけたことも。一般的に、小型サンショウウオ観察は繁殖期にあたる冬~早春がベストとされ、夏場はほぼ不可能という記載をちらほら見かける。果たしてそうだろうか?

いざ生息地へ

今回はいつもの重たい一眼レフカメラは持たず、スマホ1つという身軽さ。いつしかこんなに気軽にサンショウウオ観察をできるようになっていた。実は水中用コンデジを忘れただけなのだが。掲載した写真は全てスマホで撮影したもの。今回ターゲットにしたのは自宅からそう遠くないポイント。しかも以前、この付近で繁殖期(2月ごろ)に成体を観察している。「まさかこんなに市街地から近いポイントにヒダサンショウウオが生息しているなんて!」と感動したものだ。というか、今でも感動している。

幼生にも愛を感じよう

沢

夏場、成体は沢にはおらず、山中の林床に身を隠している。しかも彼らは割と地中深くに潜っている。繁殖期以外の時期に成体を観察することは不可能といわれる所以だ。そこでこの時期は幼生を観察することになる。幼生の姿を確認できれば、今シーズンの繁殖に成功した証拠になる。ということは、来シーズンもここで繁殖するだろうから、成体を観察できるチャンスも予測できるわけである。小型サンショウウオの世界に入りはじめたころは「成体を見たい!」と願っていたものだが、今となっては浅はかだったなと思う。本当に愛していれば、卵嚢だろうが幼生だろうが成体だろうが、出会えただけで幸せなのだ。

こんな明るい場所で?

ヒダサンショウウオ幼生

Kaz氏から「サンショウウオは薄暗い沢を好むから、明るすぎる沢ではあまり繁殖しない」と伝授されていたのだが、なんと直射日光がガンガン当たっている沢に彼らはいた。Kaz氏への不信感、もとい自然の驚異を感じる。自然に方程式や唯一無二の正解はないのだな。

サンショウウオ、上陸前は縮む?

ヒダサンショウウオ幼生

今回見つけたのは外鰓が小さく、上陸直前の幼生。既にヒダサンショウウオらしい模様が現れている。あることに気づいた。生まれてしばらく経った所謂幼生と比べると、大きさが縮んでいるのだ。全長3-4cmくらいだろうか。

ヒダサンショウウオ幼生

ちなみにこれはまだ上陸するには早い、バリバリ水中生活中の幼生。5cmくらいあった。おそらく、上陸前に尾ビレがなくなってしまうので、縮んだように見えるのだと思う。外鰓という突起物もなくなるので、なおさら縮んで見えるのかも。このような気付きも生き物観察の醍醐味だと思う。

おわりに

ヒダサンショウウオ幼生

繰り返しになるが、一般的に夏場は小型サンショウウオ観察には不向きと言われているけど、それはあくまで小型サンショウウオの「成体」を観察するには不向きというだけ。サンショウウオへの無償の愛が芽生えると、幼生も成体も関係なくなりますよ。既に今回観察した上陸直前幼生たちは順調に成長しているのか確認するために再訪したい欲求が。繁殖期の真っただ中は気温が低いので、動きやすい夏場に幼生の姿を頼りに生息地の新規開拓をするのも一興です。

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