(Photos taken by kimi)
特に用事もなく、天気がよろしくないこともあって、
久しぶりにのんびりと週末を過ごそうとしていた矢先、
「そっち方面行くけど、なんか面白いことない?」
と友人から連絡が入る。
この時点でお酒を飲みながらDVDなどを楽しむ、
“優雅な週末”は潰えた笑
さて、どうするかと話し合った挙句、
なんと『コガタブチサンショウウオ』の採集に向かうことに。
内心「マジで?」と思った。
情報はほぼ皆無で、天気が崩れるまで2時間あればよい方。
...............。
負け試合のにおいがプンプンする。
まぁ、これもいつものこと。
一緒に行けば新しい発見が必ずあるし、なにより楽しい。
楽しければそれでよい。
そんなこんなで、いざ四国へ。
コガタブチはどこに?
到着早々、すでに小雨模様。
辺りは真っ暗。
標高も高く少々肌寒い。
まずは手始めにイシヅチサンショウウオの幼生を観察する。
案の定、いつもの溜まりに小さな個体がちらほら。
いつ見ても癒されるの~。
ちんちくりんな手足とまん丸おめめ。
正直、この時点で割と満足である。
むしろここで終われれば幸せに違いない。
本番のコブチ探しは極寒の中、
ひたすら石をひっくり返すことになるわけだから。
う~ん、酔狂。
場所を移し、より標高の高い場所へ。
だれもいない高山に光源が二つ。
それにしても二人は心強い。
一人ではまず立ち入れない。怖くて笑。
黙々と探すも一向に手がかりはない。
源流部に近づいたのか、沢の水量もかなり少ない。
さっきまでいたイシヅチ幼生の姿も見えなくなってしまった。
ちょっと休憩していざ登り始めようとした途端、
「いたーーーーー!!!動くな!!!」
後ろを歩いていた友人が叫ぶ。
というかむしろ怒号に近かった笑
半径1kmぐらいの獣は逃げて行ったに違いない。
冗談はさておき、状況をすぐに理解した自分は完全にフリーズ。
友人にすべてを任せる。
自分の足元にいたその子がそっと手に包まれる。
「よっしゃーーーー!!!」
だれもいない高山に歓声が二つ。
「やべぇ、美しすぎる...」
金色に輝く斑模様に目を奪われる。
夢が叶った時の心地よい脱力感。
「これだから生き物観察はやめられない」
改めて思った。
ひとしきり感動を堪能した後、
もう少し辺りを散策してみる。
すると岩盤にへばり付く怪しい影が一つ。
「イシヅチ!しかも成体!!」
今度は自分が静かに叫ぶ。
この種はやたら俊敏なので勘づかれたらマズイ。
そ~っと近づき、そのままキャッチ。
「とったーーーーーー!!!」
まさか繁殖期以外に見られるとは思っていなかったので、
凄く嬉しい。
まだ若い、とても綺麗な個体。
どうやら、この場所ではコガタブチとイシヅチが混生しているらしい。
夢のような場所である。
テンション上がりっぱなしだ。
そして、さらに入念に探すと目を疑うような光景。
あまりの綺麗さに声を失う。
というのはもちろん嘘で、はしゃぎっぱなしである。
これを見たかった。
お酒とDVDでは決して得られない満足感。
至福の時だ。
その後も二人で探すと続々とコガタブチが顔を見せてくれる。
模様が薄い子や尻尾にだけある子、
みんな本当に個性豊か。
うん、素晴らしい!
最初の一匹目から1時間半ぐらいか。
もう少し観察しても良かったけれど、
かなり冷え込んでいたので下山することにした。
安全に帰るのがいつでも最優先。
良い思い出は良い思い出で終わらせたい。
帰りは帰りで生き物がたくさん。
ナメクジを嬉々として全力でカメラにおさめる友人。
なかなか玄人である。
そして車に到着し無事生還!
友人のおかげで100点満点の週末でした。
一人では決してたどり着くことはできなかったし、
あの一匹が見つけられていなかったら、
諦めて帰っていたかもしれない。
夢を叶えてもらって感謝です。