貴重な一日だけの休み。
外はうだるような暑さに辟易する。
家で一日まったりするのもいいが、
「どこか行きたいな~」
と、一日モヤモヤしながら過ごすはめになるのは目に見えている。
そんなわけでヤケ気味に炎天下の日本海へ繰り出すことにした。
マツダイ探し
到着や否や殺人光線が太陽から注がれる。
クーラーのきいた車内に戻りたい衝動に駆られるがぐっと堪える。
今回の目的は「マツダイ」
漢字にすると「松鯛」
海面に漂う枯葉やゴミに紛れ外敵から身を隠す魚。
海が荒れると漂流物とともに漁港内に入ってくるらしい。
幼魚期は特に枯葉にそっくりと聞く。
見分けられるのか少々不安だが、おもむろに海面に目を凝らす。
ここ数日海は荒れ模様で漂流物もちらほら。
一時間ほど探すもさっぱり見つからない。
おまけに急な豪雨に見舞われすぐさま退散。
別のポイントに移動する。
大幅に南下して外洋に面した漁港に到着。
早速海中に目をやると青いカラフルな魚やハコフグが泳いでいる。
相変わらずクソ暑いが俄然やる気が出る。
大きな流れ藻を網で掬い、
ゴソゴソしていると中から細長い生き物が飛び出してきた。
ヨウジウオ。
何気に初なので嬉しい。
飄々とした様と動きがなんとも魅力的な魚だ。
しばらく観察してリリース。本命ではないものの嬉しかった。
気を良くして漁港を徘徊するもさっぱり見つからない。
対照的に漁港内は魚で賑わっている。
クロダイが岸壁を食んでいるし、小さいカンパチがイワシを追い回している。
産まれたばかりのアオリイカもフワフワ泳いでいる。
禁欲している気分だ。釣りがしたい。
浮気はしない質なので後ろ髪を引かれながらも次の漁港へ向かう。
マツダイはいづこへ....
漂流物も多く雰囲気も悪くない。
時間的にもここが最後だろう。
一番物が溜まる漁港の角を重点的に探してみる。
すると、国民的飲料の横に見慣れない魚が浮いている。
意外とすばしっこく、難儀して掬う。
カワハギのお友達....的な?
正直わからない。
お詳しい方々にお聞きしたところ、
「ソウシハギ」
とのこと。
言わずと知れた猛毒を持つ魚。
黄色い体色に青い斑点が入るイメージだったので気が付かなかった。
面白い魚が見れるものだね。流れ藻採集。
幸先よく気分もよく更に漁港内を散策する。
まばらではあるものの多くの流れ藻を発見。
なんかいないかな~と網で掬っていると、
掬い損ねた藻の際に茶色い平たい魚が。
「マツダイ!!!!」
一目見てわかったが思いのほか小さい。
網目をスルスル抜けていき一向に捕まらない。
5回程すり抜けかなり焦ったけれども、
藻に絡めるように掬いなんとかネットイン!
盛り上がった額に渋い色合い。
小さくても格好いい風貌。
めちゃくちゃ嬉しい。感動ものである。
それにしても最初は枯葉と見分けがつくか心配だったが、
形も特徴的で微妙に泳いでいるので割とわかりやすい。
おまけに表層ばかりいるので逃げられる心配も少ない。
なんと言うかつくづく不思議な魚だ。
もう縛られるものもないので気楽に漁港内を見て回る。
気になった流れ藻を時々拾うと続々と魚が顔を見せてくれる。
イシガキダイの幼魚かな。
ハナオコゼ。
流れ藻の上でフワフワと泳いでいたところを捕獲。
飼ってみたかったが寿命が短いのでリリース。
しようと手を伸ばしたところをパクリ。
全然痛くないけれどなかなか離してくれない。
仕方がないのでそのまま海に持っていき、
じっとしているとポトッと離れてお帰りになった。
ひと悶着の後、網に残った藻の中にまたしても。
先ほど捕まえたものよりも一回り小さい。
格好いいというよりも可愛さが際立つ大きさだ。
ふと上を見ると空が紅く色付いていたので撤収。
思わず長居してしまい、
ここからの長距離運転と明日の仕事のことを考えると、
メランコリックな気分になる。
が、それにもまして満足感に浸る長い長い海の散歩だった。