気温が本格的に上がり、生き物観察シーズンの到来を感じる。
しかし、連日の雨で川は大増水!魚の採集はしばらくおあずけである。ただ、そんなときこそ、観察しやすいのが「ヘビ」だ。
タイミングが良ければ、林道を歩いているだけで見つかるので、難易度もそこまで高くない。
今回は、ヘビのなかでも「ヒバカリ」にターゲットをしぼって観察してみた。
目次
ヒバカリは無毒の日本在来種
「そもそもヒバカリってなんぞ?」という人もいるだろうから、軽く解説を。
ヒバカリはナミヘビ科ヒバカリ属のヘビで、
- 本州
- 四国
- 九州
など、日本の幅広い地域に生息している。
体色は茶褐色、首周りに黄色っぽいラインが入るのが特徴。大きさは50cm前後と小さく、とても大人しい種類だ。
日中よりも薄暗い時間帯から夜にかけて活動して、小さなカエルやオタマジャクシ、魚といった小動物を捕食する。
「かまれたらその日ばかりの命」と言われ、毒があると信じられていたけれど、実は無毒。名前の由来はとても物騒なのに、実際はとても大人しい接しやすいヘビである。
ヒバカリを探す
連日の雨で、ジメジメとイヤな日が続いている。
人間にとっては過ごしにくい環境だけれど、「恵みの雨」として活発に動き回る生き物は少なくない。
特に「ヘビ」が好む天候なので、ヒバカリに的を絞って田んぼ周りを探してみる。付近にはいい感じの石垣があって、まさにもってこいの環境だ。
田んぼのオタマジャクシのなかにアルビノでも混じっていないかと浮気していると、足元に細長い“なにがし”を発見。
これは、もしや。
ヒバカリを発見!
早々に目的のヒバカリとご対面!
大きさは50cmぐらいかな。
首のあたりのラインがチャームポイント。
茶褐色の体色にツヤツヤしたウロコが美しい。
ヒバカリは大人しいヘビ
実際に観察してみたところ、とても大人しいことに間違いはない。
威嚇して鎌首をもたげることはあっても、迫力に欠け噛みついてくることもない。
手に乗っけるととぐろを巻いてじっとしているかわいいやつである。
ヒバカリがアマガエルを捕食する
しばし眺めていると、目の前を通ったアマガエルをパクリ。
大人しいだけじゃない、「やるときはやる」と言わんばかりに襲いかかる。
しかし、少し大き過ぎたようで、残念そうにカエルを放していた。やはりヒバカリはヒバカリである。
ヒバカリ観察の注意点
ヒバカリは水気のない場所でも見つかるけれど、探しやすいのは田んぼなど、水辺が近い環境だろう。
そんな場所には、もちろん、“あのヘビ”がいる。
ヒバカリが好む環境はマムシも多い
そう、「マムシ」だ。
この日も、近くの草むらで2匹のマムシがとぐろを巻いていたので、ヒバカリを含むヘビ探しをする際は十分気を付けていただきたい。
基本的には逃げていくけれど、速足で歩いているとマムシが逃げる間もなく踏んでしまうこともあるだろう。
ポイズンリムーバーはある意味効果的
自分もそのうち噛まれる日が来るだろうと思い、フィールドワークの際は「ポイズンリムーバー」を携帯している。
ただし、目的は毒を抜くというよりも、最低限の処置をして気を落ち着かせるため。
一番効果的なのは、「いち早く病院にいくこと」である。
雨上がりにヒバカリ観察はいかがですか?
「ヘビの観察」はなかなかニッチな世界なので、人口はそこまで多くない。
しかし、種類によっては雨上がりの道を散歩しているだけで出会えることから、生き物観察のターゲットとしてはおすすめ。
特にヒバカリは大人しくかわいいヘビということもあって、親しみやすい種類だろう。
興味のある方は、夜の散歩がてら探してみてはいかがだろうか。
もちろん、マムシには要注意で。