"ウオラー"の顔をして当ブログに寄稿させてもらっているが、実は自力で"止水性サンショウウオ”を見つけたことがなかったりする。
「自力でやる小型サンショウウオ探しは流水性にフォーカスして、止水性は誰かに案内してもらおう」と謎の線引きをしてきたが待っていても誰も案内してくれないので、自力で止水性の壁に挑戦してみることにした。
目次
止水性にチャレンジしてこなかったのか?
実は毎冬、ひっそりと止水性チャレンジは繰り返していた。
初回のチャレンジ、と言ってもかれこれ3年前の話になるが適当に水路にタモ網を入れるとカスミサンショウウオ(現セトウチサンショウウオ)の卵嚢が入ったことがあった。
しかし、これ以降3年もの間、止水性チャレンジは一度も成功することがなかった。
ご好意で案内してもらったりしたけど、生息地を訪れるたびに「ああ、これは自分には無理だな」と思ったものである。
その理由は次の項目で紹介するが、結論としては止水性熱は年々、沈静化していったのだった。
なぜ止水性に燃えなかったのか?
なぜ止水性に燃えなかったかというと、理由は大きく2つある。
1. 生息地を見つけることができないから
流水性と違って、地図を眺めていたらおおよそ生息地を想像できるものではない。(ガチ勢は地図を見ただけで特定できるのかもしれない)生息ポイントは、民家の隅の水路、田んぼの中など、局所的すぎて特定が非常に難しい。また、生息地そのものが天然記念物に指定されていたり、公園や保護区域の中にあることもありポイントにアプローチすることすら難しいこともある。
2. 生息環境の景観にいまひとつ燃えないから
流水性は清涼感があり景観的にもダイナミックな山間部の沢という環境に生息しているため、訪問するだけでテンションが上がる。しかし止水性といえば、ドロドロの水溜りのような環境に生息しており、装備も汚れやすく後始末がたいへんなのでテンションが下がってしまったのだ。
チャレンジとスキルアップはサンショウウオ観察の醍醐味
そんなわけで止水性については年に1−2回チャレンジする程度でしかも毎回坊主、半ば諦めモードだった。
さらに自分のサンショウウオ観察の現在の状況はというと、
・流水性は観察したかった種を既に達成してしまったので目立った目標がない。
・積雪のため流水性の主な生息地にアプローチすることができないため暇の境地である。
・低山に生息する個体群を観察してもいいが、それもある程度やってきたので燃えるものがない。
・・・このままでは確実に鬱になるぞ。
今こそ止水性のヤル気スイッチを押してみようではないか。過去に調べたポイントを眺めて
・情報の確からしさ
・家からの距離 (これとても重要)
・天気予報
などを考慮してターゲットを決めた。
昨年から気になっていつか行ってみようと温めていたポイントである。
年々、寒さに弱くなっているので家から出ることに少々手こずったものの、なんとかポイントに到着。
家を出るときには肌寒かったが、ポイントに到着したころにはいい感じにエアコンが効いた車内。
しばらく考え、意を決して車のドアを開ける。
流水性と違ってハードな登山になるとは思えないポイントだが、雨上がりだったこともありかなりぬかるんでいる。
苔むした巨岩。
流れ落ちる清流。
流水性では当たり前の"イケてる景観"はここでは皆無だ。
一気にHPが下がるが、運動不足になりがちな冬に貴重な有酸素運動だと思って倒木を返しながら歩き回る。
1時間ほど探していい感じに体が温まったところで、どこかで見たようなポイントに到着。
あーこれは3年前にKazuhoが案内しれくれたポイントにそっくりだ。
いるならたぶんここだろう。
気になる倒木を返すと、いた。
セトウチサンショウウオ亜成体。
遂にやった。
自力で止水性を見つけたぞ。
ぬーん。
・・・・
山奥の地味な環境でひとり、地味に喜びを噛み締める。
「いよぉぉぉーーっしゃあぁぁぁっっ!!」とならないのはサンショウウオ経験が上がったせいなのか、地味な生息環境のせいかなのかは定かではない。
すぐ近くで立派な成体も発見。もう水際にいたから、そろそろ入水して繁殖の準備をするのでしょうな。
それにしても地味だな。
おわりに
止水性チャレンジが成功したことはとても喜ばしいのだが、気になることが1つ。
Kazuhoも以前の記事に書いていたイノシシの被害だ。
そこら中にイノシシが掘り返した跡がある。
これも自然の摂理ではあるのだが、なかなか受け止めづらいものがある。
小型サンショウウオを取り巻く課題に直面し、自分に何かできることはないものかと自問自答しながら帰路についた。
我々ウオラーに与えられた使命はまだまだ終わることはない。