これまで俗に「西日本タイプ」と呼ばれていた近畿地方から中国地方にかけて生息するハコネサンショウウオは観察してきたものの、「東日本タイプ」と呼ばれていた関東地方近辺に生息する黄色い斑紋のある個体は自力で出せておらず、憧れの存在だった。今回は知人と既存ポイントを攻めていたらその「キイロハコネ」に出会った話。
ヒガシヒダサンショウウオを探せ
ハコネの話題のはずなのにいきなりの別種登場。
今回、同行者の希望はハコネではなくヒガシヒダなので、そちらをご案内する企画なのだ。
これまでこのポイントでは驚くべきことにヒガシヒダは坊主知らずなので、のっけから余裕の表情。
絶対見れるだろう、という油断。
今まで学んだなかで最も恐ろしいものだ。
油断をすると、見れない。
頭ではわかっているが、体は正直なので坊主ゼロのこのポイントに足を踏み入れた瞬間から油断しまくり。
結果はやはりこうなった。
十数回目の訪問にして、まさかのボウズ。
わざわざ遠方から参加した同行者とは共有したくない嫌〜な空気が立ち込めるが、
サンショウウオ探しはここからが本番である。
流れを変えろ
良くない流れを感じたときは、ポイントを変えてしまった方が良い。
深追いをせず、潔く諦めるのだ。
サンショウウオ探しそのものを諦めて他のアクティビティに走るも良し。
今回の同行者はかなり遠方から参加しており、
サンショウウオ以外のアクティビティはそもそも選択肢にないため、
別のポイントへ舵を切った。
しかしここでもまさかの大苦戦。
ポイント主としてはそれこそサンショウウオがうじゃうじゃいる「とっておきのポイント」なのだが。
こんなはずではなかった。
ようやく、ハコネサンショウウオの幼生を一匹見つけ
「ほんとにいるんですね」
と言われてしまう始末だ。
悔しい。
悔しいが、悔しさをバネに探索しても殺気が増して生き物が出るわけもない。
何かを諦め、「悟りの境地モード」に入ったそのとき。
同行者から嬉しい声が。
「いました!ヒガシヒダ成体!!」
嬉しそうな声に胸を撫で下ろす。
遠方から駆けつけてくれたのでこちらの嬉しさも一入だ。
やはり本命はハコネサンショウウオ
同行者の本命だったヒガシヒダサンショウウオが見つかった。
一安心だ。
引き続き探索に没頭する彼を生暖かく見守っていると
「いました!小さめのハコネ成体!」
という憎たらしい声が。
一安心してやる気スイッチをOFFにしていたのだが
「ハコラー」としては黙っていられない。
ようやく本気モードでそこらの倒木を返すと、
大きな体躯と黄色の鮮やかな模様が目に飛び込んできた。
「いた!ヒガシヒダ成体!」と叫んでしまったが、冷静な同行者により
「これハコネですね」
とあっさりと切り捨てられたのだった。
キイロハコネサンショウウオを観察
ひょんなことから出会ってしまった憧れの「キイロハコネサンショウウオ」
まじまじと観察してみよう。
近畿地方産や中国地方産とは全く異なる外見。
以前に別の知人が出したのを見たことがあるが、
やはり自分の手で出せたということで満足度は高い。
西日本タイプとは全く異なる魅力的な外観を持つ、
またいつか観察したいと思わせてくれるサンショウウオであった。