時期は9月。夏が終わったかと思いきや、まだまだ暑い日が続いている。特に今日は夕立もあってか、なかなか蒸し暑い。こんな日に活発に動く生き物と言えばやはり「ヘビ」だろう。「ヘビなんてあえて探しにいかなくても…」そう思われるかもしれないが、抑えられないのが“好奇心”というもの。
言わずと知れた毒蛇、『マムシ』を探す
皆さんご存知“毒蛇”である。日本の北海道から九州まで幅広く分布している。今までに目にする機会もないわけではなかった。だが、一度もまじまじと観察したことがなかったので「じっくり見てみたろ!」と思ったのが事の発端だ。
「よし、ヘビ探しだ」と、やみくもに探しても見つかるものではない。これは生き物全般に言えること。快適に過ごせて、餌が豊富な場所を探す必要があるわけで。マムシが好む場所と言えば“水場”。田んぼや小さな川、水路などに近い草むらに多い。餌となるカエルが多いことも大きな要因だ。おまけに、石垣があれば言うことなし。内部は隙間が立体的に広がっていて、ヘビの住処として申し分ない。
地雷原ならぬ「マムシ原」
そんな場所を探して夜の田舎道をぶらつくこと30分。
死んでる...。車にひかれたのだろう。ショック。気を取り直して散策を再開して間もなく。
“いかにも”な場所を発見。
水路わきのジメジメした草むら。
そして隙間の多い石垣。これ以上ない優良物件だ。
その証拠にカエルも多い。
そこら中を飛び跳ねている。目を凝らして周囲を見渡すと、、、。
発見!
「え~っと、一匹いてその横にも一匹、その横にも、、、」
見たいとは思った。思ったけど、ちょっと数が多いんじゃないかな。五匹のマムシに囲まれていた。
「うーん、デンジャラス」
噛まれれば一発退場は免れない。気を引き締めて観察する。
なんと言ってもこの銭形模様がカッコイイ。“毒蛇”というだけで敬遠されがちだが、実はとても綺麗なヘビである。毒が無ければ「日本ヘビランキング」で上位を取っていただろう。
探す場所さえつかめればホイホイ見つかる。それだけ身近なヘビなんだと改めて思った。「むやみに藪漕ぎするのはやめよう」そう心に誓った。
マムシの習性はいかに
昼間にじっくり観察してみた。基本的に大人しいヘビでこちらから手を出さない限りまず噛みつかない。
だが、他のヘビに比べて動きは遅い上に、出会って動き出すまでタイムラグがあるため思わず踏んでしまう可能性はある。
とぐろを巻くとジッと動かなくなる。夜、この状態で待機している個体が何匹もいた。息をひそめてカエルを待ち構えているのだろうけれど、危なすぎです。まぁ、そんなところに出向くのが悪いんだけどね。
縦長の黒目も特徴。
他のヘビは丸くつぶらな瞳をしている。
この体制は危険信号。完全にロックオン。近付けば間違いなく「カプッ」ときちゃいます。
もし、噛まれたら、、、
噛まれたらすぐに病院へ。毒量が少ないと言っても毒の強さはハブを凌ぐ。致死率は低いものの“死ぬ可能性がある”ことを念頭におかなければならない。噛まれた直後に「ポイズンリムーバー」を使うのも効果的だ。
「毒を吸い出す」ことに加えて最低限でも処置できたことで少し落ち着く。むしろこちらの効果の方がデカイ。ただ最も効果的なのは毒の吸引でも緊縛でもなく「いち早く病院へ行く」である
おわりに
「マムシは毒があって危険」ということは理解していても「どんな場所に住んでいるか」知っておかなければ、知らぬ間に足を踏み入れてしまうこともあるだろう。好む生息環境や習性を深く知れば生き物と適切な距離で“接する”こともできるし”“避ける”こともできる。そんな意図もあって生き物について興味を持つ人が増えれば良いなと思います。