寝ぼけ眼でサンショウウオを探し終え、ほっと一息。
温泉にも入って疲れを取り日常に戻るはずが、気付けば深夜の沢にいた。
温泉の回復力とkemurさんの「せっかく来たから」という言葉の効力は大きい。こちらとしてもせっかくなので、1人では行きにくい、もとい獣の気配をひしひしと感じられる場所に突入する。
目次
サンショウウオを見つけるまで帰れまてん
山深い場所とはいえ、何度も来たことがある。
いるとしても、
- ヒダサンショウウオ
- ハコネサンショウウオ
この2種ぐらい。見慣れていることもあって、「よし!やったるで!」とはならない。
そこで、景気付けに「サンショウウオを見つけるまで帰れまてん」という謎ルールを追加する。
大それたことではなく、サンショウウオを先に見つけた方が勝ちというシンプルなもの。見つけられなかった側は「見つけられないプレッシャー」を感じながら探すことになる。
先に見つけた側は後方からさらなるプレッシャーをかけつつ、気楽にサンショウウオ探しを楽しむことができる。
お遊びと言われても反論できない子どもっぽいルールだが、実際はむちゃくちゃ真剣。
お互いにサンショウウオを真剣に探してきたので、意識せずともそれなりのプライドが生まれている。そこにサワっと触れるいやらしさ。
こちらとしては「言い出しっぺが負ける」というプレッシャーがのしかかる。
冗談を含んだお遊びとはわかっているけれど、目はガチだ。
ヒダサンショウウオを発見!
今までの経験をフル動員して考える。
- この地域のサンショウウオはすでに繁殖を意識した場所にいる
- ヒダサンショウウオの方が確率が高い
- 時間をかけず1級場所だけ探す
この他にも沢からの距離だったり、繁殖以外の行動パターンだったり、いろいろ考えながら情報を集めつつ探す。
始めて30分ぐらい経過した頃だろうか。
沢から近い石の下にヒダサンショウウオがいた。
kemurさんに知らせると、サンショウウオ見たのも束の間、なかなかいい表情をしてすぐにサンショウウオ探しに戻っていった。
謎のサンショウウオ探し、開始!
ここまでは、実はプロローグのようなもので、本番はここから。
過去にこの場所で「種類がわからないサンショウウオの幼生」が見つけた。その正体を解き明かすのが本来の目的だ。
生息環境的にはヒバサンショウウオの可能性が高いけれど、確証を得なかった。とはいえ、成体が見つかればきれいさっぱり解決するだろうと踏んでいる。
見たことがない生き物を探すのはモチベーションが上がる。
発見!謎サンショウウオ!
謎サンショウウオを探してしばらくすると、止水に近い沢に到着。
ここが、幼生を見つけたポイントだったはず。気を引き締めて落ち葉をそっと持ち上げるとサンショウウオがいた。
あまり見かけない模様と体色に「もしや新種では?」とも思ったが、状況から考えるとヒバサンショウウオではなかろうか。
自分では断定できなかったので、有識者の方に聞いてみるとヒバサンショウウオと判明した。
謎サンショウウオもといヒバサンショウウオ発見!
1年間頭に残っていたことなので、正体がわかってすっきり。
kemurさんにも知らせると「ハコネサンショウウオじゃないのか」と、いい表情をしていた。
ちなみに、ヒバサンショウウオを見つけて間もなく、きれいなヒダサンショウウオ見つけていた。さすがである。
「サンショウウオを見つけるまで帰れまてん」も無事ハッピーエンドに終わった。
ヒバサンショウウオを観察する
ヒバサンショウウオを観察してみると、よく足を運ぶ場所の個体とは体色と模様が違う。
体色は薄めで、腹から脇にかけてきれいな白斑がある。なんというか、清楚な感じ。
この他にも5個体ほど見てみたけれど、まったく同じ外見だったから個体差ではなくこの場所特有のものだろう。
同じ種類であっても雰囲気がガラッと変わる。改めてサンショウウオの奥深さを実感させられた。
謎サンショウウオの正体はヒバサンショウウオで決着
帰り際、おもむろに石をどけるとヒダサンショウウオがいた。
黄色の斑模様がきれいな個体だった。
朝からサンショウウオを探し続けて、
- ハコネサンショウウオ
- ヒダサンショウウオ
- ヒバサンショウウオ
この3種類のサンショウウオを見つけることができた。
どれも探し方が違い難易度が高いものの、見つけたときの喜びは大きい。
謎サンショウウオの正体は解明したところで、もう1つ頭に残っているのは「岡山のブチサンショウウオ(チュウゴクブチサンショウウオ)」。
ヒダサンショウウオばかりという、うれしくも悲しい結果に終わった相手だけれど、本腰入れて探してみようと思う。
※前編はこちらの記事です