ことの発端は山根の電話にさかのぼる。何気ない会話の中に爆弾をぶっ込んでくるのが彼の得意技だ。
そもそも十和田湖の位置が曖昧にしかわからんので、調べてみる。
ごっつい北!青森!
おまけに陸路ときた。
滋賀から関東まで行って合流、そこから十和田湖。
片道約1000kmの超が付くロングドライブである。
まいいか。よくあることだし。
おまけに今回は「さっさん」というカメラマン兼道連れもいる。
そんなこんなでノリと勢いで決まった十和田湖遠征。
不安要素としては台風が迫っているので、
時間に猶予がなく帰り際に正面からぶつかることぐらい。
果たしてどんな結末が待つのか。
目次
ヒメマスについて
無知のまま現場に向かってもよい結果にはならないということで、
ヒメマスについて下調べ。
その生き物の生息環境や生態について知ることは生き物観察ではとても重要。
しっかりインプットする。
- サケ目サケ科の淡水魚。
- 魚陸封型(海に下らないタイプ)を「ヒメマス」、降海型は「ベニザケ」。
- 非常に美味。
なるほど、「非常に美味」か。
とても重要なのでしっかりインプットした。
十和田湖のヒメマス釣り
10月のこの時期は婚姻色で真っ赤に染まるヒメマスを見ることができる。
メスはイクラを持っていて食味は申し分ない。
そのため釣り人も多いが、気持ちよく釣りをするためにもルールは守らなければならない。
- 解禁日は10/1~12/31、4/1~6/20、7/11~7/20
- 遊漁料は1日1,000円
- 竿は1人2本
- 15cm以上かつ1人20尾以内
- 時間は日の出から日没まで
2019年のヒメマス釣りは絶不調!?
この時期は繁殖するために接岸した浅場にいる個体をシンキングやサスペンドミノー、
スプーンで狙うのがセオリーらしい。
しかし、今年の十和田湖は渇水で普段産卵に使っている浅場は陸地に。
そのため一段奥のブレイクを回遊していると。
そこを目がけて小型のメタルジグで狙う釣りでなんとかポツポツ拾っていくスタイルになるらしい。
ポイントが絞れなければボウズは珍しいことではない....。
要するに“絶不調”というわけだ!
テンションの上がらない情報が多いものの、初場所はやっぱり期待が膨らむ。
十和田湖に向けて“地獄の車リレー”
当日の流れ。
さっさん(近畿)am11:30→Myハウス(滋賀)pm14:00→
→山根と合流(関東)pm19:00→十和田湖(青森)am4:00。
それぞれが車を乗り継ぐリレー方式。
アンカーは“驚異のタフネス”なので心配いらない。
延々と高速道路を走り続け、当初の予定通りに十和田湖に着くことができた。
ヒメマスのポイント探し
下調べは山根がすでに済ませてくれている。
後は現場を見て決めることになった。
ヒメマスは沢からの流入や湧水ががらむ場所で産卵する。
加えてブレイクを狙う釣りなのでブレイクが隣接していることも条件。
その2点を念頭に置きポイントを絞った。
実釣開始!
日の出とともに実釣開始!
予想通り浅場にヒメマスの姿はない。
ウェーダーでできる限り立ち込みブレイクを狙う。
しばらくすると、一番右側で釣っていたさっさんが目視でヒメマスの群れを確認!
ブレイク沿いを回遊しているとのこと。
それを聞いて間もなく、左側で釣りをしていた山根から威勢のよい声が響く。
記念すべき初、十和田湖ヒメマス!
傷一つない綺麗な個体。
釣れることがわかって一安心。
気を引き締めて釣りを開始すると、自分の前にもヒメマスの群れが!
ブレイク沿いを右から左へ回遊している。
それも一度や二度ではなく、10分おきぐらいに10~30匹程の群れが眼前を通り過ぎていく。
タイミングを計ってシンキングミノーをフォールさせると、
簡単に口を使ってくる。
「来た!!」と思ったら見事にバレる。
ヒメマスはバレやすい魚なので慎重にファイトしなければならない。
気を取り直してもう一度ミノーを通すと今度はガッチリとフッキング。
しかも赤い!婚姻色の出たオス!!
慎重に慎重にファイトし何とか陸揚げに成功。
盛り上がった体高と突き出た顎。
淡く赤く染まった体。
久しぶりに“感動の一匹”と出会うことができた。
しみじみと感慨にふけっていると、
先ほどの3倍は威勢のいい声が左から聞こえてくる。
「燃えるような赤」とはこのこと。
叫ぶ理由も頷ける。
こんな綺麗かつカッコイイ魚がいるなんて知らなかった。
その後も釣れに釣れ続け、釣りしながらカメラマンをしているさっさんは大忙し。
挙句の果てにはロッドを置き、釣り人から専属カメラマンへと転職していた。
メタルジグとシンキングミノー、どっちがいい?
山根はメタルジグを主体にコンスタントに釣果を伸ばしている。
一方自分は食わせの間が少ないメタルジグよりもシンキングミノーの方が相性が良かった。
後で気付いたことだが、メタルジグでも多少ゆっくりとフォールするものがよいようだ。
速すぎれば口を使ってもバイトする間もなく落ちてしまう。
ブレイクなど水深のある場所はメタルジグで効率よく、
シャローフラットではシンキングorサスペンドミノーで拾っていく。
王道と言えば王道だが地形と魚影を見ながらチョイスしていくと釣果を伸ばせるだろう。
ヒメマスが水中で泳ぐ姿はいかに?
一通り釣り終え、リミットにも近付きつつあったので、
ヒメマスの生態観察に勤しむ。
さっさんが持参したGoProによる水中撮影タイム。
本当に小さな流入にも関わらず、大小さまざまな個体が所狭しと押し寄せていた。
少ない群れで10尾、多い時では50尾程度の群れが流入にやって来る。
動画で撮影しつつ、ルアーも通してみるとなかなか面白い。
バイトは常にショートバイト。
口に食わている時間はほんの一瞬だけ。
おまけにかなり近距離で鼻先に落とさないとバイトを得られない。
ルアーをず~っと追いかけて捕食することは稀で、
どちらかと言えばリアクションバイトに近い印象。
時折、体にルアーが触れると怒ったかのように追いかけてくることもあるが、
それもまた稀有なパターンだ。
同じルアーばかり使っていると管釣りのごとくスレて見向きもしなくなるが、
カラーチェンジするとまた反応が変わる。
動画から判断すると、
- 群れにルアーを通す
- フォールスピードが速すぎないルアー
- カラーチェンジは効果あり
- 針は鈍っていないものを使う
当たり前のことだが一つでも外せば釣果は望めないだろう。
特に1は最優先事項。
むしろ、群れさえ見つけてしまえば口を使いやすい魚なので、
釣りあげることは難しくない。
おわりに
予想外の大爆釣に終わった“十和田湖ヒメマス遠征”。
美しい湖と所々色付き始めていた木々がとても綺麗だったが、
それに負けないぐらい赤く輝くヒメマスに癒された。
「また来よう」とは気軽に言えない距離だけれど、
「また来たい」と思える場所であることは間違いない。
ヒメマス釣りのルアーとタックルについて
今回使用したルアーとタックルをご紹介します。
今回メインで使用したのは「シンキングミノー」と「メタルジグ」。
シンキングミノーはシャローにさしてきたヒメマスに効果的です。
食わせの間が作りやすく派手なカラーを使えば、
ショートバイトの際にルアーが動くのが見えるため、
サイトの釣りにもマッチします。
沖のブレイク、もしくは水深のあるシャローではメタルジグに分があります。
魚のいる水深まで素早く落とせるため効率がよいです。
ブレイク周りを狙うため根掛かりが多く、
何個か持っておくと安心です。
ルアーと同じぐらい重要な「偏光レンズ」。
シャローの魚を探すのはもちろん、ブレイクの有無、
ルアーの動きによるバイトの確認など、
ヒメマス釣りでは必須アイテムと言っても過言ではありません。
ラインに関してはナイロンもしくはフロロの4lbを使用しました。
水中映像撮影に使ったカメラ、安定のGoProです。