今年のことかと思いきや、
昨年の秋口のできごと。
初夏に一度挑戦して大敗北を喫したサンショウウオ。
「オオダイガハラサンショウウオ採集 ~first challenge~」
その年の一大目標にもう一度挑戦した時のお話。
前回、時間がなくて到達できなかった谷の奥地。
そこには行かない。
向かう時は“最終手段”
どうにも打つ手がなくなった場合だけ。
本当に身の危険を感じたし、
なによりとても綺麗な場所で、
奥へ奥へと入ってしまう魔性の場所のようだったから。
そんなこともあって、今回はまったく違う山を登ることにした。
もちろん、前回の経験を活かして考えに考えて絞り込んだ場所。
そんな風に言えば聞こえは良いけれど、
まぁ、『勘』である。
そして教訓も忘れてはならない。
宿敵の宿敵“ジョニー”
これと。
株式会社エコ・トレード ヒル下がりのジョニー 140ml | |
クリエーター情報なし | |
株式会社エコ・トレード |
これ。
エクストラクター ポイズンリムーバー AP011 | |
クリエーター情報なし | |
エクストラクター |
結論から述べるとヒル除けは効果絶大でまったく寄ってくることはなかった。
それ以上に香草系(?)の香りで快適な沢登りができた。
もう一つのポイズンリムーバーは幸運なことに使う機会がなく、
今後も活躍することがないことを祈るばかりである。
さて。
ひたすら山を登り続けると空が近くなる。
植物も次第に雰囲気を変える。
何本もの沢を横目に歩くが、
「入ろう」と思えるものはない。
そうやって歩くうちに頂上が視界に入る。
少し休憩しようと思い、
ふと辺りを見渡すと小さな小さな沢が一つあった。
何の気なしに、だけど何か気になって奥に足を運ぶ。
今までに登った沢とは違って、
どことなく無機質で生き物の気配は薄い。
流れる水は骨身にこたえるほど冷たい。
キンキンに手を冷やしながらなんとか岩を返していく。
手の感覚が薄らいできたころ、
あっという間に視界の外へと出ていく“なにか”がいた。
逃げ込んだであろう場所の石を退けると、
また違う場所へと移っていく。
そんなことを何度か繰り返しながら、
浅瀬へと導いていく。
待ちに待った瞬間
この時点で“なにか”は何かでなくなっているから、
緊張はピークに達している。
そして最後は網の中へ。
感動を通り越して、
「あ~、ここにいたんだ」
と、なんとも間の抜けた感想だった。
あれだけ危険な目に会って、
いろんな山、沢を渡り歩いて、
やっと出会えた“最初の一匹”
今後、無数に群れる幼生がいても成体がいても、
この一匹より心に残ることはない。
そういった意味では“最後の一匹”なんだろうな。
嬉しくもあり、ほんの少し寂しくもある不思議な心境。
なんだか湿っぽくなったけれど、
とても感動して震えるほど嬉しかったことは間違いないので。
この後も観察を続け、
多くの幼生と触れ合えた。
あまりにも熱が入って夜間採集にも突入してしまったが、
明け方に立派なゲコに出会ったぐらいである。
会いたくなったらまた来よう。
登りは重かった足取り。
新しく大きな思い出を胸に抱えているはずなのに、
足取り軽く山を下る。