エビでライギョを釣る

「そろそろウナギが釣れるかも!」

淡い期待を胸に河口に降り立つと、やたら多い魚類の死体...。

チヌに始まりシーバスやらボラやらetc...。

なんなのこれ?と思いつつ、しばらく呆然としていると少し沖の方の様子がおかしい。

赤い。とても赤い。少なくとも普段慣れ親しんでいる水の色でないことは確かだ。

赤潮』。

プランクトンの大量発生。

なるほど。魚の死骸はこれが原因か。

とても納得すると同時に今日の釣り終了のチャイムが鳴る。

原因が原因だけに仕方ないが少々悪あがきしようと考え、

河川を遡り、かなり上流部で新規開拓することにした。

橋を五本ほど過ぎたところで川岸に降りてみる。

見た感じそれほど悪くない。夕暮れも近かったのでここに決めた。

餌はミミズとテナガエビ。

遠距離と近距離の二段構えでロッドを配置する。

あとはいつも通りテナガエビ採集に勤しむだけ。

これが結構楽しくてウナギが釣れない日は、こちらがメインになることもしばしば。

食べてもおいしいのでね。

ライトでテトラ周りや石積みを照らすとこんな風にウロチョロしているので、

網で掬うだけ。

ハサミだけ出しているものは釣りの方が部があるのだけれど、

じれったいのであまり好みでない。

相手の都合お構いなしに、問答無用で狩れる網が最強である

その代わり、風情は欠片もないが。

さて、そうこうしている間に夕飯のおかずぐらいの量は確保できた。

エビ採りが捗る時というのは、ウナギが釣れすぎて餌が枯渇気味かまったく気配もない時。

この日はもちろん後者である。

竿に付けた鈴が鳴ることはない。

アマガエルの鳴き声が響くのみである。

可能性を感じないのでカワアナゴに狙いをシフトする。

石積みにミミズを落とすと、すぐにロッドがしなる。

超大物。

いわゆる、「地球を釣った」というやつだ。

限界まで粘ったのだけれど、その甲斐なくラインブレイク。

ちょっと相手が大きすぎたかな。


予期せぬ巨大魚に遭遇

もうなんかいろいろ面倒くさくなったので、

帰ることにした矢先、思わぬ巨体が視界に入る。

すぐさま車に戻り、偶然積んであったアカメタックルを手に取る。

けれど、ルアーなんか持っていない。

いや、必要ない。

エビがいるじゃん

先ほど捕まえた夕飯のおかずを針に付け、

「それ」の鼻先へと送り込むと躊躇うことなく口を使った。

しばらく暴れた後、急におとなしくなり、無事捕獲。

『ライギョ』

ライギョはカムルチーとタイワンドジョウの総称。

ちなみに、これはカムルチーの方だ。

思ったよりもデカい...。

今日の鬱憤を晴らしてくれる嬉しい一匹。

三度、呼吸する姿を確認した後、そっと川に帰した。

思わぬ出会いに感謝。

夕飯のおかずは少し減ったがね。

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