川の宝石“ルリヨシノボリ”を探して

“ヨシノボリ”

日本の河川に広く分布し、目にする機会も多い。

ボサや浮石をガサれば捕まえることは難しくない。

いわゆる普通種と呼ばれる存在である。

本州に生息するヨシノボリは一種を除いて採集している。

その残り一種が「ルリヨシノボリ」。

ヨシノボリとしては大型で頬に瑠璃色の斑点があるのが特徴。

写真で見るととても綺麗で目を奪われる。

「これは間近で見たい!」

そう思ったのも束の間、そそくさと準備を済ませ車に乗り込む。


瑠璃色探し

和歌山にしようかとも思ったけれど、

比較的近い福井に決定!

場所はフィーリングで決めることにした。

と言ってもルリヨシは両側回遊魚(海と川を行き来する)なので、

大規模な河川改修やダムがある河川は望ましくない。

そういった場所は除き三つの河川に目星をつけた。

一か所目。

思い付きだから到着は夜中の10時頃。

ウェーダーを履き網を携え、防水バッグに財布など貴重品を詰め込む。

こけたら濡れちゃうからね。

こけたら・・・・。

意気揚々と川べりに向かい、いざ行かん!

開始十秒。

バッシャーーン!

早速防水バッグの真価が発揮される。

よし、無傷。本体以外は。

本体は左半身がずぶ濡れ。

この時期にはなかなか堪えますな。

さて、気を改め採集続行。

手始めに岸際の石をひっくり返す。

幸先よく飛び出したのは石に化けることで有名なこの魚。

アユカケ。

とウキゴリ。

どんな魚でも捕れたら嬉しいもの。

この二種はこの後も頻繁に網に入った。

これらがいるということはもうちょい上流かな。

そう思ったけれど、河口部も見てみたいので下流に向かう。

一瞬期待してしまったゴクラクハゼ。

結構綺麗な魚である。

他にもシマヨシノボリ、カワムツ、ウグイなどが登場。

水路の主、登場

河口に特色はなくしぶしぶ来た道を戻る。

道中で少し水深のある面白そうな水路を発見。

ガサってみると衝撃の魚が網の中でのたうち回っていた。

巨大ドンコ!

普段見ているドンコと風格が別格である。

優に20cmは超えている。

まさかこんな変哲もない水路でお目にかかれるとは。

正面から見るともはやドンコには見えない。

口の大きさと歯の鋭さが相まってアンコウみたい。

本命ではないものの、とても嬉しい一匹。

テンションも上がる。

辺りを見渡すと同じぐらいのサイズのドンコがゴロゴロしているではないか。

恐ろしい水路もあるもんだ。

ライトタックルを持ってきたら楽しそう。

だが、時間も限られているので今回は見るだけにする。


本命を探して上流部へ

浮気に存外時間を使ってしまった。

足早に車に戻って上流へと向かう。

水深は浅く流速は早い。

そして浮石が点在している。

いかにもヨシノボリチックな場所である。

期待に胸を膨らませ探すこと一時間。

まったく見つからない。

シマヨシノボリがぽつぽつ網に入る程度。

初っ端のダイナミックエントリーが地味に効いていて、

体は芯まで冷えてくるし・・・。

気が付けば車から500m程上流まで来ていた。

一際大きな浮石。

捕れないし寒いし腹減ったし眠いしで、

ヤケクソ気味に持ち上げる。

期待せずに網に目をやると、

やたら大きなヨシノボリがピチピチと跳ねている。

頬は瑠璃色・・・。

五秒ぐらい時が止まって一言。

「ルリヨシノボリやん!!」

川べりで感動に佇む。

頬の瑠璃色斑もさることながら、

青と赤と緑のコントラストが綺麗すぎる。

正に芸術。

これは尊い。

鱗一枚一枚が宝石のように輝いている。

そしてイケメンである。

非の打ち所がない。

ヨシノボリでこれ程感動するとは思ってもみなかった。

また一つ忘れられない思い出ができた。

これを原動力にまた新しい感動を探すことにします。

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