2022年、コタツにこもって早くも1ヶ月。
仕事以外でフィールドに出ず「これはヤバい」と思い付きでサンショウウオ探しに向かう。とはいえ、積雪がひどくて標高の高い山は無理。
そうなると比較的低地に生息する止水性サンショウウオか。なんなら新種を見てみたいので「サンインサンショウウオ」を目標にしてみた。
目次
山陰に生息するからサンインサンショウウオ
サンショウウオの生息地を名前から判断するのは得策ではない。
「シコクハコネサンショウウオ」なんて種類もいる。
ただ、サンインサンショウウオに関しては、
- 兵庫
- 鳥取
- 島根
という山陰地方に生息することが名前の由来だ。目的の県が決まったら、お次は生息地に検討をつける。
サンショウウオ探しはGoogleマップのピン打ちから始まる
サンショウウオに限らず生き物探しを始めるときは、まずGoogleマップにピンを打っていく。
もっと面倒な場所にいる種類なら、ジオグラフィカやスーパー地形といった登山用アプリを使うこともある。
ピンを打つ基準は生き物によって変わるけれど、止水性サンショウウオなら、
- 地形
- 水源
- 構造物
といったポイントが判断基準になる。意外と機械的に見つけられるので詳しくは割愛。
今回は5本ほどピンを打って「サンインサンショウウオ?」という謎のメモを添えて現地に向かうことにした。
雪深い里山にてサンインサンショウウオ探し
インターを降りて最初に思った素直な感想は「雪多いなぁ......」だったけれど、それがすべてを物語っている。
引き返してコタツにこもりたくなる。とはいえ、ここまできたら様子ぐらい見ておきたいので、最初のポイントに向かう。
案の定、雪が深く、多いところではひざ上までズボっと埋まる。
モチベーションが下がりそうな状況ではあったけれど、日没の薄明りに照らされた里山には「いかにもな雰囲気」が漂っていたので期待できそう。
里山の1級ポイントを見つける
周囲の環境を確かめつつ歩みを進める。
新規開拓ならその場所の1級ポイントに真っ先に足を運ぶことが重要だと思っている。いるにせよいないにせよ、その場所のポテンシャルが把握できるから。
1級ポイントにたくさんいたら分散して他の場所にいる可能性も高いけれど、まったくいなければ時間をかけるべきではない。
行きは場所の全体像をつかみながら、ライトで照らして確認する程度。帰りは1級ポイントのポテンシャル次第で時間配分を決めている。
ただ、時間をかけないように進もうとしても雪が深くて思うようにいかない。やっとのことでたどり着いた湿地はまさに「止水性サンショウウオの水辺」という雰囲気で期待値が上がる。
サンインサンショウウオとの出会いは雪の中
4mぐらいの水たまりを照らすこと10秒。
1匹だけサンショウウオを発見!今回の目標のサンインサンショウウオ!
カメラを取り出して、いたままの姿を最初の1枚として写真に収める。
人やライトのプレッシャーを感じる前の姿は、このときしか撮れない貴重なタイミング。
違和感に気付いてじわりじわりと落ち葉の下に潜っていく。
すると、今度は別の落ち葉から新しい個体が顔を出す。どうやらかなりの数いるらしい。次から次に出てきては引っ込んでいく姿が可愛らしくもあり、面白かった。
サンインサンショウウオの卵嚢も見つかる
無事に会えてほっとして視野を広げてみると、なんと卵嚢も発見!
時期的に産卵はもう少し後かと思っていたので以外。表に出ていたのは1個(2対)だけだったけれど、落ち葉の下にはもっとあると思う。
たくさんいるのはわかっているし、ガサることもないのでそっとしておいた。
おわりに
満足して帰路に就くころになって氷点下の環境にいることに気付いく。
無造作に置いたタモ網がそのままの形で凍っている。
冬のサンショウウオ探しの風物詩とも呼べる光景だ。
生体だけでなく卵嚢まで見れたので思い残すことはなく、新規開拓はここで終わり。Googleマップに打った残りのピンは、だれかと一緒に開拓するときのために残しておこうと思う。