滋賀と言えば琵琶湖。琵琶湖と言えばビワコオオナマズ、ビワマス!
有名どころはそんな感じだが、今回の目的は他にある。
それが「スナヤツメ」。
淡水魚の中でもちょっと珍しい部類に入るこの魚をガサガサで探してみる。
目次
スナヤツメをガサガサで探してみる
探すその前に軽くご紹介。
ヤツメウナギ目ヤツメウナギ科の魚で日本全土に幅広く分布している。
ちなみに、このスナヤツメ、さらに2種に分かれる。
スナヤツメ(南方種)とスナヤツメ(北方種)という遺伝的に分化した2種が存在するが、
外見ではまずわからない。
スナヤツメは“環境指標生物”
それはさておき、このスナヤツメにはちょっとした特徴がある。
それは「環境指標生物」であること。
スナヤツメは良質な河床(砂泥)がある場所に生息するので、
この種が見つかれば「良い環境の場所だね」ってことが言えるわけです。
もちろん、生息数も多いわけではなくて環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)に該当している。
いわゆる絶滅危惧種ですな。
環境調査をしていてもこの種が出ると出ないでは話が変わるケースもあって、
そんな場合は是が非でも探すわけだが、、、
だいぶ前振りが長くなってしまったけれど、ここからが本編。
スナヤツメの生息する河川へ
深夜12時をまわる頃、琵琶湖の北湖にある流入河川へと足を運ぶ。
装備はウェーダーとタモ網だけという、なんともラフなスタイルだがこのぐらいが楽でちょうどいい。
川の流心に仁王立ちして、周辺を見渡す。どこにでもいるわけではないから、しっかり吟味しないと。
スナヤツメを見つけるポイント
ポイントは流速のない、もしくは緩い場所。さらに、砂泥が溜まっていることも条件。
綺麗な水質も必要だからドロ~ッとした水質はよろしくない。
そうやって考えると大きな河川でもいる場所はかなり限られてくる。
満を持して網を入れてガサると淡い灰色のニョロニョロがうごめいている。
スナヤツメの名前の由来
体の前方にある鰓孔が7つあり、これが眼と合わせて8つに見えることが名前の由来だ。
本来の眼はまだ開眼しておらず、この状態は“アンモシーテス”と呼ばれている。
4歳ほどで目が現れると同時に、エサを食べなくなり産卵後は死んでしまう。
一生のうちで世界を見渡せる期間がほんの一瞬だけ。ちょっと切ない。
スナヤツメと苦い思い出
この魚にはちょっと思い入れがある。
調査でスナヤツメを見つけて、よくよく見てみたら「カワヤツメじゃない?」と恐ろしい意見が。
そう、スナヤツメには外見がほぼ同じの“カワヤツメ”という近縁種がいるのである。
こうなると同定するしかなくなるので、
ホルマリンに浸かって刺激臭を放つヤツメの筋節数を測るという苦行を強いられたのであった。
ちなみに筋節数は体表に薄っすらと確認できる筋のこと。
鰓孔の後端(頭から見て7つめ)から肛門までの筋節数を測って、
スナヤツメは50後半~65本、カワヤツメは60後半~70後半と分けられる。
あとカワヤツメは尾の先端が若干黒っぽい。
だいぶマニアックな話になってしまったけれど無事に観察できてなにより。
次回は開眼した成体を観察しに来ようかと画策している。
繁殖シーンも見てみたいことだし。
おまけ:スナヤツメを食べた人の話
自分は食べたことがないけれど、スナヤツメを食べたことがある人に話を聞いてみた。
なんでも「ちょっとピリッとしてよくわからん味」だったそうな。
どちらにせよ美味しくないんだろう。
少し興味はあるけれど、今のところ実行に移す気はない。
今のところ、は。