小型サンショウウオを探していると他の生き物にもよく遭遇する。
本当によく遭遇する。
それはもう本命のサンショウウオ以上に。
シカ、カモシカ、アナグマ、鳥類各種、ヘビ類各種、ナガレヒキガエル、タゴガエル、サワガニ、イワナ、アマゴ・・・
・・・イワナ・・・アマゴ??
気になったので釣ってみようと思った話。
"外道"としての渓流魚が気になる
何年か前に見つけたハコネサンショウウオが生息する沢。
しばらくぶりに訪れてみると、小さな滝壺に蠢く影。
・・・アマゴだ。
ウオラーとしては本命はハコネサンショウウオのはずなのでアマゴは外道になるのだが、本命の生息数が少なく見つけるのが非常に難しいポイントであるせいか、いつの間にか外道の方が気になり始めた。
パーマークと呼ばれる特徴的な模様に赤い斑点がなかなかに美しい。
狭い滝壺に目視でこれだけの数が生息しているのなら、簡単に釣れるだろう。
軽い気持ちで、初めての「渓流釣り」に挑戦することにした。
DAY1: 雑魚釣り用の道具で挑む
とは言ったものの、我が家にある釣り道具といえば
・2.7mの"万能竿"
・雑魚釣り用の仕掛けセット
・マス釣り用の針(釣り堀で買ったものの余り)
・ブドウ虫(サンショウウオの餌にしている)
だけである。
ただ、あれだけの密度で生息しているならかんたんかんたん。
初めての「遊漁券」もテンション高めで購入し、ポイントへカーシェアを走らせる。
雑魚釣り用の組み合わせでも余裕で釣れる・・・はずだった。
蓋を開けてみると、4時間ほど粘ったものの、全く釣れなかった。
完敗という名の清々しいボウズである。
原因をあれこれ考えてみる。
・竿が短すぎて自分と魚との距離が近すぎたので魚に警戒されているのでは?
・ブドウ虫の動きが足りないのでは?(水が冷たすぎてすぐ息絶えている)
・時刻が遅すぎた?(薄暗い早朝の方がいいのでは?)
超がつく初心者なので正解がどうかはわからないが、これまで何年も生き物を相手にしてきたのであながち間違ってもいない気がする。
これらを改善するため、帰り道に釣り具店へ。
あれこれ買い揃え、翌日に備えるためだ。
DAY2: 改善プランの真価や如何に!?
改善ポイントは下記の3点。
・3.6mの竿:魚から少しでも離れる。しかし沢のなかで取り回しがしやすい長さ。
・冷水に強そうな餌:ミミズ
・渓流釣り専用の仕掛けセット
さあ、再チャレンジである。
期待とは裏腹に、なかなか釣れない。
しかしながら、周囲に目をやると流れ落ちる水の音と新緑が実に気持ちいいぞ。
これも渓流釣りの魅力なのかっ。
山の中で贅沢な時間を過ごす。
過酷なサンショウウオ探索にはないなかなかにオトナで優雅な時間である。
DAY1では必死過ぎて気づけなかった。
当初はなかなか釣れなかったが、改善プランが功を奏したのだろうか。
30分ほど経過した、そのとき。
一匹の大きな魚体が遂に針にかかった!
感動の瞬間。
どんな生き物でも、最初に出会った一匹の感動に勝るものはない。
急いで針を抜いてやり、ここからは観察タイム。
その後の展開
その後、渓流釣りを構成する要素:生き物(魚類)、景観、魚との睨み合い、新緑、せせらぎ、等に魅力を感じ始め、サンショウウオのシーズンが終わったこともあり、遊漁券(年券)を購入し毎週のように通った。
過去にサンショウウオはボウズだったものの魚影を目撃していたり、釣り人が駐車していることがあるポイントが多数あったので、ポイント探しには困らず。
サンショウウオ探しがこんなかたちで役に立つとは思わなかった。
年券が「アマゴ用」だったこともあり、この漁協管理エリアにはアマゴしか生息していないと思っていたが、思いがけずイワナも釣れてなかなか楽しい"釣行"となった。
イワナに喜んでいたのも束の間、攻めるポイントがサンショウウオ探しで身につけた源流域だったためか、イワナばかり釣れてしまいなかなかアマゴが釣れない事態に。
アマゴを1匹釣り上げるのにとても苦労した。
似たような魚なので当初は違いがわからなかったが、イワナの方がより源流に生息していて隠蔽的な生活を送っているため貪欲で、小場所でもよく釣れるので餌釣りでは釣りやすいそうだ。
ここでようやく釣りの興味深い点を知ることができた気がする。
おわりに
渓流釣りにはサンショウウオ探索と共通点もあるが、少し異なる面白さがあることがわかった。
ナチュラルに来週の予定を立ててワクワクしている自分がいる。
こうやって新しい趣味が生まれていくのは良いことだ。
沼にハマるかどうかは今後の展開によるのだろう。
自分の渓流釣りは、まだまだ始まったばかりだ。