九州での仕事が無事に終わり、がんばったご褒美として生き物観察ツアーを開催することにした。
サンショウウオは「ベッコウサンショウウオ」と「コガタブチサンショウウオ」を発見して満足したので、次は魚を攻めてみる。
しばらく考えた末に浮かんだのが「コウライ(高麗)オヤニラミ」。
初魚種なもので難しくもあり、非常に楽しみだ。
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目次
九州南部に定着しているコウライオヤニラミ
その名のとおり、コウライ(高麗)オヤニラミは本来日本に生息していない外来種である。
ペットの遺棄か原因は定かではないが、九州南部の河川に定着してしまっている。生態系としては喜ばしいものではないけれど、現状を確認する意味も込めて足を運ぶ。
極寒のコウライオヤニラミ観察開始!
時期は12月、外気温-3℃。
現場に到着してあまりの寒さに車の暖房を最大にする。正直、出たくない。
もつ鍋やら、馬刺しを食べて至福のときを過ごしているはずだったのに、どうしてこうなってしまったのだろう。
深く考えると悲しくなってくるので、体が温まったタイミングで外に出てウェーダーを履く。
噂のコウライオヤニラミ?を発見
水際に立った早々に、「おおっ!」っと思う魚影を発見!
ただし、すでに返事がないただの屍になっていた。
まじまじと見てみると、たしかにオヤニラミ。それにしては、体高がなく模様も違う。
「これは、もしや」そう思いつつも確証を得ないので、保留にする。
今度こそコウライオヤニラミを発見!
気を取り直して、とんでもなく寒い川に入って観察を続ける。
間もなくして、川底にたたずむ20cmを超える大きさのハタ系(のような)の魚を発見。1発でわかるその存在感。
緊張しながらも網を入れると、暴れることなく網に入った。
想像以上にデカイ
間違いなく「コウライオヤニラミ」!
在来のオヤニラミではあり得ない大きさだ。やはり頭部はスマートな印象を受ける。模様もまったく違う。
鰓蓋(えらぶた)にある特徴的な目玉模様は共通点。
初魚種は嬉しく、感動してずっと観察してしまう。
コウライオヤニラミは岩や石に依存する
コウライオヤニラミを探すにあたって、石やらボサやら探してみたが川底に沈んでいるものに潜んでいる確率が圧倒的に高かった。
これは、在来のオヤニラミと比べての話。ボサにもいないことはないけれど、割合でいうと「石の下9:ボサ1」ぐらいかな。
ちなみに、ここからは確証はない話。
不自然な浮石が無数にあった。普通だったら泥が堆積しているような場所なのに、石の周辺だけきれいさっぱりしている。
まるで、生き物が頻繁に通ったような跡が残っている場所がそこら中にあった。犯人はおそらくコウライオヤニラミだろう。
コウライオヤニラミを含む外来種の放流は厳禁です
1匹捕まえた後も観察を続けると、いたるところにコウライオヤニラミが潜んでいた。
10や20ではない数。その繁殖力に脅威を感じるとともに、「今より拡散したら非常に深刻な事態になる」と強く思った。
大型のコウライオヤニラミが競合相手になれば、在来のオヤニラミはひとたまりもないだろう。魚食性も強いので、その他の在来種にも影響が出ることは間違いない。
特定外来種ではないので採集や飼育は自由だが、他の生き物と同様、いやそれ以上に放流厳禁な魚である。
大型でとても格好いいし魅力的だけれど、それとこれとは話が別だ。
九州のコウライオヤニラミ観察、完!
本州からでは遠くて二の足を踏んでいたコウライオヤニラミを無事に観察することができた。
観察自体はとても楽しく満足でしかない。外来種として拡散状況をみると心配だけれど、現状を把握することも重要なこと。
あまりにも遠い場所なので、次はいつになるかかわらないけれど、いずれまた。
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