以前のような狂気に満ちたモチベーションもなく、ギアをニュートラルに入れた状態でサンショウウオ探しを楽しんでいた初夏のある日。
イモリのように太ったどでかいハコネサンショウウオの幼生に出会った話。
新規幼生>>既存成体
ギアをニュートラルにしているとは言え、サンショウウオ探しといえば「刺激」である。
以前のように肉体と精神を酷使して探索することは少なくなったが、「刺激」はある程度注入しなければならない。
ちなみに皆さんは以下の2つからどちらを選ぶだろうか。
- A. 生息していることが既にわかっている既存ポイントで成体を探す
- B. 生息しているかわからないポイントを新規開拓する=たとえ幼生でも見つけたら開拓成功として勝利
サンショウウオに対する想いは人それぞれ。
甲乙が付け難いし、どちらが正しいということもない。
ちなみに自分は断然Bを選ぶ。
なぜって、自分にとってはBの方が刺激が強いからである。
決して、この春はBばかりやっていて成体を1匹も見れていないことに負け惜しみを言っているわけではない。
成体?
まあ僕は新規開拓が好きなんでね、成体を見たと報告を貰ってもちっとも羨ましくないんだからっ。
ちょっとした冒険
いつも通り地図を見て開拓するターゲットを何本か選定。
狙いはもちろんハコネサンショウウオ。
近頃はウオラーではなく「ハコラー」と言った方がしっくりくるほど、ハコネしか狙っていない。
この日は1本目からちょっと冒険をしてみることに。
もともと難易度の高いエリアであるのだが、さらに難易度を上乗せしてみた。
ギアはニュートラル、と冒頭に申し上げたばかりだが、カラダはニュートラルに刺激を欲しているためニュートラルに難易度を上げていくらしい。
車を降り、ひたすら林道を進む。
サンショウウオ探しの頻度がガクンと落ちているせいか、体力が続かない。
1時間ほど歩くと、林道が終わり、滝が見えてきた。
この辺りは非常に滝が多く、攻めづらい。
いきなり成体を探すと体力を無駄使いするのでまずは幼生が居そうな場所を見つける。
流石に水量が多すぎて、源流近くまで登らないとサンショウウオはいないかーと諦めた瞬間、起こした石の下から粋の良い何かがピチピチと跳ねた。
クソでかハコネ幼生出現
これまでの経験から、飛び跳ね方でサンショウウオの幼生だと確信した。
石の下から覗く尾の色からハコネサンショウウオとわかってまずは心の中で新規開拓勝利宣言。
このエリアではハコネ開拓が本当に難しいので、喜びが込み上げる。
気持ちが落ち着いたところで観察するとしよう。
むむ、サイズ感がおかしい。
形状は幼生のようだが、これはひょっとして成体では?
しばらく観察していると顔を出した。
この幼顔は、間違いなく幼生。
ただ、やはりサイズ感がおかしい。
この顔の大きさ、胴体の太さ。
例えるなら丸っと太ったイモリ。
生き物屋の間でちょっとした流行になっているSeriaの魚観察ケースに入れてみると全長は11.5cmだった。
今まで自分が見つけてきたハコネ幼生の中ではもちろん最大、とてもメモリアルな幼生となった。
おわりに
以前に別の記事にも書かせていただいたけれど(下記参照)、種々のデメリットやリスクはあるものの、夏でも観察が可能なサンショウウオ幼生という存在はウオラーにはとてもありがたいものだ。
想像しているよりずっと下流にも生息していたりするので、山の中でバーベキューや川遊びをすることがあれば、Seriaの魚観察ケースをお供にぜひ探してみてほしい。
*今回観察したハコネサンショウウオは形態的特徴や生息地からホムラハコネサンショウウオの可能性があります。