ハコネサンショウウオに完全に魅せられてしまった筆者。
サンショウウオ観察をしやすい職場環境を模索し(?)3度目の転職も決まり、遂にやってきた有給消化期間。
このまとまった休みは、もちろん「ハコトレ」に充てることにした。
まとまった休みといえばサンショウウオトレーニング
サンショウウオに限らず、生き物の探索に”良い流れ”や"コツ"を掴んだらその機を逃さず短期集中型で一気に探索術を身に付けてしまった方が良い。
スポーツとか釣りでも同じことが言えそうだが「好不調の波」があるため「好調の波」が来ている時は狙い目。そういう時は寝食を忘れてサンショウウオに没頭したい。
今回はハコネ探索に良い流れを感じていたことに加え、転職のセオリー・有給消化を最大限に生かし、短期集中型ハコトレを実践してみることにした。
(ちなみに、2度目の転職の有給消化期間はイシヅチサンショウウオ探索に没頭していた)
深夜のハコトレ
選んだポイントは以前にハコネサンショウウオの新規開拓に成功したポイント。
夜間観察は視界が悪いため転倒、滑落、道に迷う、野生動物に遭遇するなどリスクが盛り沢山。
通常は何度もポイントに通い詰め、それこそ「目をつぶってでもポイントまで到達できる」くらいのレベルにならないと夜間観察はやらない。だが今回は仲間も同行するというので、リスクを覚悟で2度目の訪問にして夜間観察を決行した。
さらにこのエリアはツキノワグマの生息エリアのため、いつになく緊張する。
森に入った時に感じる殺気も半端ではない。
ありったけの照明器具を携え、定期的に爆竹を炸裂させつつ、ポイントを目指す。
しかし、1度しか訪れたことがないポイントに2度目でいきなり夜間観察を仕掛けるのはやはりハードルが高かった。
地形を完全に把握できていない=危険箇所を把握できていないので、どこまで攻めたらいいのかわからないのだ。
さらに時折、霧も発生し、行手を遮る。
とりあえず遭難するわけにはいかないので、道に迷わないためにも沢に沿って上流を目指すことに。
時折、姿を現すヒダサンショウウオの幼生に癒されつつ探索を続けたものの、サンショウウオの成体は姿を現さなかった。
メガハコネサンショウウオ現る!
めげずに探索するがハコネが全くいない。
目に付くのはヒダ幼生ばかりだ。
しかし、ここからが本当のハコトレである。
ハコネサンショウウオ探しはここからがおもしろい。
簡単に見つからないからこそ、楽しい。
あれこれ模索しながら上流を目指すと源頭らしきポイントに到着してしまった。
水量が割と多い沢だったため、源頭はもっともっと上にあるかと思いきや、意外と近くて拍子抜けだ。
そしておもむろにヘッドライトを向けた先にはオーラを放つ斜面。
サンショウウオってこういうとこ好きなんだよねえ、何か出るかな?と特に期待せずに掘ってみた。
・・・すると
何かが目の前に飛び出してきた!
・・・サンショウウオだ!
・・・デカい!!!
その圧倒的な存在感を前に
「いたァァーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
と夜の森で雄叫びをあげてしまった。
そして次の瞬間、種類を特定できない自分がそこにいた。
・・・とにかくでかくて太い。
ヒダサンショウウオか?
それにしては背中が赤銅色だし、尾が長いような・・・
・・・こ、これは・・・ハコネサンショウウオ成体!
と同時に、サンショウウオ観察を始めて約2年経つが5指に入る最上級の興奮に襲われることになる。
種類を特定できなかった理由は、ハコネにしてはあまり眼が飛び出していなかったことと、この大きさと太さであった。
ハコネサンショウウオといえばスリムな体型が特徴だが、ミミズでも飲み込んでいたのだろうか、種の判別ができないほどマッチョに仕上がっていた。
さらなる探求
そして自分の悪い癖が全開になる。
良い発見をした時は、そのポイントに通い詰めて徹底的に深掘りしてしまう(物理的に深掘るわけではない)のだ。
有給消化が終わって新しい会社に入社してからも、週末には周辺数カ所のポイントに毎週末通い詰めた。
時期によるものか、ポイントによるものかは分からないが、なぜか大型の個体ばかり見つかり、通っていて飽きることはなかった。
そしてハコネ観察後に待っている温泉の魅力も相まって、充実した週末を過ごすことができた。
結局、ハコネの姿が見当たらなくなるまで一ヶ月ほど通い続けてしまった。それほど、このエリアのハコネは魅力的だった。
おわりに
初回の緊急事態宣言解除後の2020年5月から約6ヶ月続けてきたハコトレ。
腹を括ってハコトレを決意した時、「赤みがかった斑紋を持つハコネの成体に出会うことが最終目標だ」と志していたのだが、予想よりも早めに最終目標に出会うことができた。
ということは、そろそろハコトレは終わりにしても良いのでは?
いやいや、ただでさえ難易度が高い(と個人的に感じている)ハコネである。
ヒダサンショウウオもある程度出せるようになるまで約1年の歳月を要した。
ハコネサンショウウオの道はさらに長く険しく、まだまだ続く。かもしれない。