秋といえば、春と並ぶサンショウウオが観察できる季節。
「今年もいっちょ行ってみますか」
シーズンに入って初のサンショウウオ探しに向かう。
目次
秋はハコネサンショウウオを季節
個人的にだけれど、秋はハコネサンショウウオが見やすい。
沢の中を歩いているだけで見つかることも少なくない。重い石や倒木に触れずして観察できるのは喜ばしいことだ。
時期は10月の初め。
明かりのない沢を下流から登っていくと、最初に出くわしたのは立派なモリアオガエル。
産卵期の春~初夏のみ観察できるイメージだけれど、夜の沢では年中見かける青いやつ。
「動いたら負け」と言わんばかりに微動だにしないので、じっくり観察させてもらった。
- カエル各種
- シカやネズミ
- よくわからない昆虫
沢の近くには生き物ばかりで、いつも浮気ばかりしている。
「なにか生き物はいないかな~」
遠目に視野を広げていくと、岩に張り付いている本命を発見。探し始めのころのように「よっしゃー!」とはならないけれど、しみじみと眺めるのはそれはそれであり。
生き物を見つけるなら人間有利な場所が吉
余談だけれど、生き物を見つけるときに居そうな場所を探すのは大事だけれど「人間有利な場所」を攻めるのもおすすめ。
落ち葉や枯れ枝、石が込み入った場所は生き物がカモフラージュしやすいし、見えにくい隙間にいることも珍しくない。
いっそのこと、少し開けた場所や大きな岩といった見やすい場所を探せば「いれば高確率で見つかる」状況に持っていくことができる。
- たくさんいる見つけにくい場所
- 少ない見つけやすい場所
確率でいえば、同じぐらいかもしれない。
ちなみに、このハコネサンショウウオも大きな岩の上にいたので一目でわかった。
なにはともあれ、本命に無事出会うことができて満足。
その後も少し探したけれど後がつづかず、立派なヒッキーにあいさつして帰路に就く。
秋はヒダサンショウウオ季節
ハコネサンショウウオ観察の1カ月後。
お次はヒダサンショウウオ探しに勤しむ。
ハコネサンンショウウオと違って表に出ていることが多くない(雨中の林道観察は除く)種類なので、石や倒木の下をのぞきながら探す。
ポイントまでしばらくかかるため、紅葉を楽しみながら足を進めると、ちょっとした違和感がある。道がやたらキレイな気がする。
荒れ果てた林道だったのに車が通れるぐらいには片付いている。
「なにもない場所なのに......」
ヒダサンショウウオのポイント、壊滅?
少し嫌な予感がしたけれど、そのまま林道を登り進める。
20mほど先にヒダのポイントが見えたところで、予感が的中。工事車両が転回するための大きな広場と整備された護岸ができていた。
このあたりは大雨で土砂崩れがひどかったエリアなので、仕方ないっちゃ仕方ないけれど残念な気持ちになる。
「天災→工事→生息地の減少」
最近はこのパターンをよく目にする。近隣住民の方々の生活を守るためには必要なことだけれど、生き物にとって明るい未来とはいいにくい。
たくましく生き延びていたヒダサンショウウオ
「この場所も終わったかな」
そう思いながら広場の近くにあった一本の倒木を起こしてみると、キレイなヒダサンショウウオがそこにいた。
ほっと胸をなでおろす。どうやら無事だったらしい。
写真を何枚か撮って、倒木にはそのままお戻りいただいた。サンショウウオ観察がいつの間にか安否確認になってしまったけれど、無事ならOKです。
「来年はどうなることやら」
少しの心配と出会えてほっこりした気持ちを抱えて山を下りた。
おわりに
第二のハイシーズンとも呼べる秋に2種類2匹しか観察しに行かないのはいかがなものかと思う。
ぶっちゃけ「サンショウウオ熱」はかなり落ち着いている。
サンショウウオ探しを始めたころの記事を読んでみてもらえればわかるけれど、当時は狂ったように探して雪山に億すことなく突撃していたが、今はコタツが友達だ。
ただ、再燃することもあるし、他の生き物にお熱になることもある。
サンショウウオを見つけて震えるような感動を味わうのは難しいかもしれないけれど、今でも見つかると嬉しいし「変わらず居る」ことに安心する、というかほっとする。
「劇薬」から「安定剤」になった感じ。バーベキュー後の炭のように、燃えることもなければ消えることもない。
サンショウウオ探しに抱く気持ちは変わっても、好きなことに変わりはないんだろう。