-必殺の0.1秒-後編 マホロバサンショウウオ(中部地方産)登場

前回までのあらすじ、というか前回そのもの↓

美しく巨大なヒダサンショウウオを発見し、安堵する筆者。いつになく安定した精神状態で、近場を探索してみることに。

相次ぐ進入禁止

林道あるある

地図を見ながら直感で目星をつけて移動してみるが、どこも道路工事のため進入禁止。

通常なら少しイラっとするところだが、1か所目で素晴らしいヒダサンショウウオに出会えているため既に満腹、動じることはない。さらに渓流付近を流してみることにした。

カオスとの出会い

しばらく走ると何とも怪しいポイントを発見。

怪しい。怪しすぎる。

ぱっと見、サンショウウオ以外に何が棲んでいるんだ?とツッコミたくなるようなドンピシャの環境。 たぶんタゴガエルとサワガニは棲んでると思うけど。

沢
見た目だけでは判断できないけどね

現場に突撃してざっと全貌を把握し、すぐに悟った。

「このカオスな環境、苦手だ」と。

倒木や枝葉が積もりに積もって地面がどこなのか予測しづらい環境を個人的に"カオス"と呼んでいる。サンショウウオを観察しに行くとよく出会う。

このカオス、モチベーションを搾取する天才なのだ。人類には分が悪い。

沢
うん、こういう景色見ると探す気なくなる。

余談になるが、このようなカオスにバールを使って立ち向かっている人を見かけたことがある。

誰もいない山中でバールを振りかざし、沢の脇に積もった倒木を破壊し尽くしていた。その姿に戦慄を抱いたものだ。個人的な意見だが、そういう方法で探索しても見つからないと思う。

自然へのリスペクトを忘れたら、終わりだと思う。

カオス手前のオアシスで

奥地に広がるカオス環境にモチベーションを搾取され、すっかり帰宅モード。

しかし手前付近に少しだけ良さげな環境が。シダや苔も適度に生い茂っているし、ところどころ地面も見えているので地形も把握しやすい。

まずはサンショウウオが好んで食べるであろうワラジムシ等の小さな昆虫が生息しているのかどうか確かめることにした。

するとミミズ、ワラジムシ等が次々と登場し、なんと1匹の赤茶色の生き物まで。

マホロバサンショウウオ
ま、まさか!?

サンショウウオだ!しかし模様がほとんどないように見える。ヒダではないのか?明るい場所まで連れて行って確認すると尻尾に見覚えのある模様が。

マホロバサンショウウオ

マホロバサンショウウオ(旧コガタブチサンショウウオ)である。

まさかこんなにいいかげんに見つけたポイントで出会えるとは。実は中部地方産のマホロバサンショウウオは見慣れた近畿地方産の個体よりも斑紋が少なく、まるで別種のような雰囲気とのことだったのでいつか見たいと思っていた。

まさかの出会いに感謝である。

貴重な生息地

マホロバサンショウウオ
儚くも美しい存在

情報によると、このあたりはマホロバサンショウウオの生息地が飛び地的に存在するのみで非常に貴重のようだ。

おそらく、流水性サンショウウオとしては低標高に生息しているため、開発による影響を受けやすいものと思われる。

おわりに

それほど気合いは入っていなかったものの、1日でヒダ・マホロバ、それぞれの新規開拓に成功。

これまでの小型サンショウウオ探索の中でも取れ高はトップクラス。コンスタントに小型サンショウウオに出会うことができるようになると、探索熱もかなり落ち着いてきた。まさかの燃え尽き症候群!?初めて経験する謎の葛藤。

まるで青春の1ページのように、モラトリアムな日々を過ごすことになるのだった。

マホロバサンショウウオ
ここへ来て探索熱が沈静化?