昨年の夏から「ハコトレ(ハコネサンショウウオ成体を見つけるためのトレーニング)」を開始したため、まだ「春」の動向は調べることができていなかった。
ハコトレを締めくくる意味でも、しっかりと春の動向を調査し、パターンを把握しておきたい。
飽きずに何度も通う姿をKazuhoに呆れられつつも、決して近いとはいえない距離にあるハコネ生息地に通い詰めた話。
なぜハコネサンショウウオにこだわるのか?
今更だが、なぜ筆者がここまでハコネサンショウウオにこだわるのか紹介したい。
生息ポイントの選定→探し方の模索→幾度どなく失敗→最終的に発見
という「一連の苦労」を経験させられ、その苦労が報われた種だからである。
ヒダサンショウウオやイシヅチサンショウウオも大好きな種で苦労も経験したが、共通の苦い思い出がある。
この2種は自分が苦労して選定した生息ポイントを同行者と訪れた。
夜だったということもあってたまたま出歩いていた個体を同行者が先に見つけてしまったのだ。
これは悔しい。
同じ経験をした方なら、これがいかにやりきれない事態かご理解いただけると思う。
「そんなケチケチするなよ」「小さいこと言ってるなあ」と思われるかもしれないが、サンショウウオ探しというものはしばしば「苦行」と比喩されるほど辛く険しいものであり、自分が経験した苦労は報われた方が何倍も幸せなのだ。
長い人生、苦労が全て報われるかというとそうでもないが、趣味でやってることなのでいつか報われる時が来ると信じている。
このような観点から、ハコネサンショウウオはそれこそ血が滲むような苦労の末(実際にブヨやヒルに刺されて血が滲んだこともあった)、それが報われた存在であるので格段に思い入れが強い種なのである。
何月から始める?
一口に「春パターンを調べる」と言っても、こちらが行動を開始するタイミングを吟味する必要がある。
特に根拠はないけど、個人的には先手必勝。
ちょっとまだ早くないか?という時期に生息地へ赴いて探索するようにしている。
今回はまだ山に残雪が残る4月初旬からスタートすることにした。
動かした岩や倒木は元に戻すといつか良いことがある
今回の春パターンの調査は、同じポイントを複数回訪れることになる。
こんな時、必ず守りたいのが探索のために動かした岩や倒木は可能な限り元に戻すということ。
「人間が動かした岩や倒木の下には2度とサンショウウオは現れない」という人もいるが、自分の経験は全く逆。
元に戻しておいた環境に再びサンショウウオが現れることがよくある。もちろん完全な復旧は不可能ではあるのだが、極力、元どおりにすることを目指したい。
ホットスポットで経過観察する
今回、調査地点としたのは、この春に新規開拓したポイント。
ホットスポットとでもいうべき、数多くのハコネが集まる超一級のポイントである。
この年は全体的にサンショウウオたちの立ち上がりが早かったのか、例年より早い時期から成体が姿を現したようだ(*昨年の春に観察していないため、例年の傾向は他の人から頂いた情報)
「よくもまあ(遠いのに)飽きずに何回も行きますね」とKazuhoから呆れられてもめげずに通った。
シーズン開始からしばらくは繁殖に活躍していそうな大型のオスが中心に集まり、終盤になるとメスや若い個体が姿を表すことがわかった(ただの偶然である可能性も大いにあるのだが)。
ハコトレ・完
十分すぎるほどハコネの動向を把握することができたので、昨年の夏からスタートしたハコトレもいよいよ終了である。
このまま終了すると”サンショウウオ燃え尽き症候群”という不治の病に冒されるリスクが増大するので、次なる目標を探さなくてはならない。(当該の病については次回に詳しくご紹介する)
1年くらい頭の片隅に残っている某地域個体群か・・・
まだ見ぬチュウゴクブチサンショウウオか・・・
楽しい悩みは尽きないのであった。