季節は冬、12月半ば。鳥取県。
この時期の海は人も少なく、潮風でべたつくこともないから気に入ってる。
釣りものは少ないけれど、ぼーっとしているだけで気分がいい。
目次
未知の魚と遭遇
散歩がてら漁港をテロテロ歩いていると何やら見慣れぬ魚が3匹。
水深1m程の船のロープに密着してフワフワしている。
一見、フグにも見えるしカワハギにもちっさいマンボウにも見える。
「これは珍魚や!!」と、いつも通りよくわからない状況でこそテンションが急上昇する。
すぐさま車に走ってロッドを手に取り、狙ってみると・・・。釣れた!
なんだ~これ。モンガラ?
でも、モンガラって南方のイメージがある。
皮膚はかなり硬く、バラムツのようにゴツゴツしている。
青白いスポットがなかなか綺麗だ。
顔はカワハギっぽい...。そしてすげーおちょぼ口!
すぐ近くにもう一匹いた。あなたもいらっしゃい。
この辺の海は長年通っているのだけれど、一度たりともお目にかかったことがない。
正体は「アミモンガラ」
ネットで調べてみるとどうやら「アミモンガラ」のようだ。
フグ目モンガラカワハギ科に属し、
北海道から琉球列島に至るまで日本全土に分布しているとある。
国外では全世界の温帯や熱帯域に生息するんだと。
幼魚期に流れ藻やら漂流物に潜むから分布も広いみたいだね。
流れ藻採集してても見たことはないな。
アミモンガラの味が気になる
ちなみに、アミモンガラの食味についても調べてみた。
しかし、「結構おいしい!」という情報と「卵巣や肝臓など部位によっては毒がある」という情報がある。
すごいロシアンルーレット的な魚ですな。
まぁ、身は無毒らしいが...。
人生において“一歩踏み出す勇気”は大切だが、ここでそれを発揮していいもんか否か。
もう少し考えよう。
「死因、モンガラ」とか、なかなかかっこ悪いし笑。
アミモンガラを食べてみる
帰宅後して悩むこと3分、意を決してアミモンガラを食べることに。
そして骨格標本にもしてみよう。
捌いている最中に思わぬハプニング!
この魚、皮がもの凄く硬くて包丁で削ぐように除去してたんですけど、
勢い余って指をザックリといきましてね(-_-;)
「まぁ、こんなこともあるわな」
寛容な心でとりあえず止血して、作業を続行。
したのはいいけれど、テンションはだだ下がりのため写真もございません笑。
刺身にしてみたところ、弾力がありフグやカワハギに近い味。
歯応えだけで言ったらカワハギ以上かな。
「なかなか美味しいではないか」
かなり満足したのでテンションも持ち直し、そのまま骨格標本制作に移行する
アミモンガラの骨格標本を作る
さてさて、作り方は今までと同じで、
大それたことはしていないので省略。
完成品はこちら!
なんとも前衛的なフォルムだこと。
まるで弓のような形をしている。
ちなみに、所々「この骨、どこのだったっけな~?」と曖昧な個所があったので、
“迷走”と言う名のアレンジが加えてある。ご了承ください笑。
歯はこんな具合でなかなか良い歯並びをしてるね。
除肉していた時に感じたことだが、顔、主に頬周りの筋肉がとても発達していたので、
噛まれればたぶんもげる。
余談になるけど、同じモンガラカワハギ科で『ゴマモンガラ』という魚がいて、
大きいもので50cm近くなり、繁殖期にはとても攻撃的になってかなり危険だとか。
フィンなどが削られるだけでなく、噛まれて大けがすることもあるらしいので、
ダイバーさん達にたいそう恐れられているそうな。
確かに、この様な歯を持ち合わせた大型魚であれば、
恐怖以外の何ものでもないよな.....。